12月12日、家電量販店の「ヤマダ電機」が、経営再建中の「大塚家具」の株式を50%超取得し、子会社化することを発表した。買収額は約44億円になるというが、今後も大塚家具の社長は大塚久美子氏が続投することも併せて発表され、驚きの声が上がっている。
「大塚家具は2015年、お家騒動と言われる委任状争奪戦を繰り広げた末、創業者の大塚勝久氏から娘の久美子氏が経営権を奪取。それまでの高級路線から低価格路線へとシフトしたものの、11月14日に発表した19年1〜9月期では最終損益が30億円の赤字になるなど、同期としては5年連続の赤字に陥っていました。久美子社長は構造改革を進めて来ましたが、結局は自力での再建を断念し、事実上の身売りでヤマダ電機傘下となったわけです」(経済評ジャーナリスト)
大塚家具とヤマダ電機は、今年2月に業務提携を発表し、ヤマダ店舗で家具の販売をおこなうなど協力体制にあった。ヤマダは住宅メーカー「エス・バイ・エル」を子会社化するなど住宅分野にも力を入れており、大塚家具を取り込むことで、電気、家電、住宅の総合企業を目指していると見られる。同社の山田昇会長は12日の会見で、「大塚家具の商品は粗利が高く、売り上げを少し伸ばせば黒字化は達成できる」と説明している。
「それにしても驚いたのが、久美子社長の続投です。彼女は会見で『構造改革を行い、黒字まであと一歩になった』と実績を強調していましたが、どう考えても大塚家具を5年連続の赤字にした当人。ネット上でも、《会社をダメにした張本人が続投?》《商才がない久美子社長をはやく大塚家具から外した方が良い》などとする揶揄が殺到しているのです」(経営コンサルタント)
なお、ヤマダは大塚家具の子会社化を発表したことで、株価が急落。お荷物を抱え込んだとの懸念が広がっているからだ。
「そうした状況はヤマダの山田昇会長も予測していたことでしょうが、久美子社長との会見では『私どもの考え方は結果主義』『チャンスを与える』としていました。来期の黒字が見込めなければ、久美子社長はあっさり切られる可能性はありますね」(前出・経営コンサルタント)
久美子社長にとっては、もう言い訳のできないところまで来た。
(小林洋三)