女性有名人が「社外取締役」に続々抜擢も、あの元社長には身も蓋もない意見が!

 22年の国際比較では、日本の女性役員の比率は15.5%で、G7の中でビリケツ。しかも6位のアメリカは31.3%なので、最下位争いでダブルスコアをつけられるほど、財界での女性の社会進出は狭き門になっている。

 そんな汚名を返上するため(一方ではイメージ作りや話題作りでもあるのだろうが)、企業の3月決算を受けて株主総会が集中する6月のこの時期、いくつもの企業で女性有名人の社外取締役が選任されている。

 女優の水野真紀は保育事業を展開するJPホールディングスに、元マラソン選手・高橋尚子はスズキ、ユーチューバーの浜屋理沙氏はワークマンに起用されている。この他、中野美奈子は四国電力グループの四電工、内田恭子は保育所や幼時教育関連のキッズスマイルホールディングスと、女子アナ人気も高い。

「社外取締役で女性有名人の起用が目立つようになったのは、会社法が改正されて21年3月から上場企業では社外取締役の設置が義務付けられたからです。その21年には、女優の酒井美紀が不二家、元フジテレビアナウンサーで弁護士の菊間千乃氏はコーセーの社外取締役に選任。SBIホールディングスの久保純子、日本郵船の国谷裕子など、女子アナは当初から人気でした。22年4月に行われた東証再編では、プライム市場上場会社は役員の3分の1に社外取締役を置くと定められているので、女性有名人の起用に一層拍車がかかっている状態です」(経済ジャーナリスト)

 彼女らに求められるのは、女性目線と経歴から培った見識というところなのだろうが、こと「経営」に関するとなると、その有効性には疑問がある。ましてや社外取締役の役割は、社内の常識が社外で非常識であればそれにキッパリと「ノー」と言えること。そういう意味では、人の話を聞くのが役割の女子アナは一番相応しくない人選にも思えるのだが。

 そんな中、違った意味で〝有名〟な女性を起用したのが、パソコン機器大手のメルコだ。あの大塚家具元社長の大塚久美子氏を招聘したからだ。するとどうしても“大塚家具を無くした人”というイメージが先行するのだろう、ネット上にはこの人選に特に厳しい意見が寄せられている。

 曰く「会社を成功させたのなら歓迎だけど」「広告効果はないですね」「何かプラス要素はあるの」「話のネタでしょ」などなど。現在はコンサルの仕事をしているということで、「自分の会社をあっという間に潰してしまった人がコンサルをやっている事にも驚き」といった、身も蓋もない意見まで。
 
 確かに大塚家具は、ヤマダ電機(当時)に吸収された末、今ではヤマダホールディングスの一事業部門という形に収まっている。

 ただ、失敗から学ぶと考えれば、またとない経験をされた人なので、経営の「ケ」の字と全く無縁だった人よりは大いに意味があるとも思えるのだが。

(猫間滋)

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