大塚家具の株価が突然跳ね上がった。
この1カ月は150円前後の値段に張り付いていた株価が、10月28日午前に一気に跳ね上がって制限値幅いっぱいの200円をつけた。突然の急騰に、この日のチャート図は垂直に伸びたようにも見える。翌29日は再び株価が上昇して220円近くにまで達したがその後に膠着、それでも前日の終値201円の6.47%高の214円で引けた。
「28日に“かぐや姫”こと大塚久美子社長の辞任が発表されたからです。2015年に大塚家具創業者で父の勝久会長を経営から外して娘の久美子社長に経営権限を集中するという“親子喧嘩”から始まった同社の“迷走”ですが、以後、業績が回復することはなく、昨年末にヤマダ電機のヤマダホールディングスの傘下になったのは皆さんも知るところでしょう」(経済ジャーナリスト)
この決定にマーケットは好感、株価が急上昇したというのだから、大塚家具を巡る大塚家の末路はあまりにも悲しい。だからネットでも、《お父さんの作った会社を乗っ取られただけの結果に終わっちゃったね。なんか悲しい》という、ただただ正直な感想が。
ただそう言われてしまうにもちゃんとした根拠があって、クーデターによって15年に久美子社長が会社を率いて以後、2016年から同社は4期連続で赤字を垂れ流していたからだ。そして、高級路線が売りだった同社は、安さが売りの家電量販店の傘下に入る。だから、《2017年あたりで潔く身を引くべきだったでしょ》と、さらに突き放す書き込みがなされてしまうのも結果としては仕方ない。
大塚家具の発表によれば、12月にヤマダ電機との資本提携から1年を迎えるにあたって、来期の黒字化も見えてきたことで、「過去の業績についての責任を明確にする」という意味合いで久美子氏から辞任の申し出があったとのことだが、
「ですがこれは実質、クビに等しい」(前出・経済ジャーナリスト)
後任にはヤマダホールディングスの三嶋恒夫社長が兼任して経営にあたるという。これで名実ともに完全子会社化したということだろう。マーケットの反応というものは時に非情で時に正しい!?
(猫間滋)