「大戸屋」上場初の赤字見通し、引き金はやはりあの「バイトテロ」か?

 定食チェーンの大戸屋ホールディングスは11月5日、19年4月〜9月までの業績予想を修正し、営業損益が1億9000万円の赤字になる見通しだと発表した。同社の中間決算が赤字となるのは上場以来初のことだが、ネット上では納得の見方も少なくない。
 
「大戸屋は業績を下方修正した理由として、『4月のグランドメニュー改定による売上高が計画を下回ったこと』や『恒例の“生さんま炭火焼定食”がさんまの不漁により販売できなかったこと』、『台風等の自然災害の影響』を挙げていますが、転落の引き金を引いたのはあの“バイトテロ”と言えるでしょうね」(業界関係者)

 今年2月、従業員が店内で下半身をトレーで隠しはしゃぐ動画が拡散し、バイトテロとしてテレビニュースにも取り上げられた。3月12日には再発防止策として国内店舗の大半を休業し、従業員教育と店舗の清掃を行ったが、3月の既存客数は前年同期の10.8%減、4月は8.0%減と、信頼の回復には至らなかった。
 
「そんな中でさらに状況を悪化させたのが、グランドメニューの値上げです。4月23日に栄養バランスを重視したメニューに改定し、定食メニューの12品を10〜70円値上げしており、安くて人気の定番商品だった720円の『大戸屋ランチ』も廃止されました。もともと大戸屋は600円台でボリューム満点な定食を食べられることが人気でしたが、現在では定食のほとんどが800円〜900円台となり、『香味唐揚げ定食』など1000円を超えるものも少なくない上、全体のボリュームは減っている感があります」(飲食店コンサルタント)

 なお、「大戸屋ランチ」については10月1日に復活させているが、価格は790円と70円値上がりしており、ネット上では《ただコスパの悪い定食屋になってしまった》《量が減ったのに値上げって、行くわけがない》など、これでは客足が遠のくのもやむなしとの意見が見られる状況だ。
 
「大戸屋は今年で創業62周年を迎える老舗ですが、一度離れていった常連客を取り戻すことは簡単ではないでしょう。大戸屋HDは、10月1日に『かっぱ寿司』などを運営するコロワイドが筆頭株主になっており、今後、どのようなテコ入れが断行されるのか、注目が集まっています」(前出・飲食店コンサルタント)

“庶民の味方”として立て直せるか。

(小林洋三)

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