「大戸屋」が冷凍食品の販売を開始、「さば塩焼き520円」の強気は通じるか?

 定食チェーンの「大戸屋」は5月20日から、東京、千葉、神奈川、埼玉の22店舗で冷凍食品の販売をスタートさせた。新型コロナウイルスの影響で3月以降のテイクアウトや宅配の需要が前年同期比で5割以上も増加しており、新たな収益源として期待が寄せられているが…。

「冷凍食品として発売されたのは、同チェーンの人気メニューである『鶏と野菜の黒酢あん』(580円)や『さば塩焼き』(520円)など8種類。9月下旬からは全国約350店舗でも取り扱い、将来的にはスーパーやコンビニでの販売も検討しているといいます。『大戸屋』の村山康介取締役は会見で、『店内調理のメニューとほぼ遜色ない商品に仕上がった』と自信をのぞかせていました」(社会部記者)

 しかし、やはりというべきか価格が気になった人も多かったようで、ネット上では《さば塩焼きが単品で520円って高すぎないか?》《スーパーでさばの切り身買ってくれば半額以下でもっと新鮮な塩焼きが食べられるわ》《大戸屋は価格設定が消費者と合わなくなってしまった感》《店で食べるのと遜色ない味だとしても、500円以上する冷凍食品に手は伸びんな》など厳しい意見が相次いでいた。

「19日、大戸屋ホールディングスが発表した2020年3月期の連結業績は営業損益が6億4800万円の赤字、純損益は11億4700万円の赤字となり、2001年の上場以来初の最終赤字に転落しました。もちろん新型コロナウイルスの影響もありますが、それ以前からバイトテロや値上げによって12カ月連続で既存店の売上高が前年割れを記録するなど絶不調にあったのです。そんな中でテイクアウト需要が高まり、冷凍食品を大きな収入の柱として考えているようですが、やはり値段が気になるところですよね。わざわざ店舗まで足を運んで、この価格の冷凍食品を購入するかと考えると、かなりの『大戸屋』ファンでなければ飛びつかない可能性もあります」(経済ジャーナリスト)

 スーパーやコンビニで販売される冷凍食品が充実するなか、こだわりの味でこれらを打ち負かすことができるか。

(小林洋三)

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