「大麻合法化」へ舵を切るハワイ、懸念される日本人離れ

 近年では18年にカナダ、22年にはタイで解禁された嗜好用大麻の使用。同様に州ごとで対応が分かれる米国でも合法化の波が押し寄せ、24年春時点で医療用大麻は8割、嗜好用もおよそ半数の州で認められている。そうした中、現時点では違法扱いのハワイ州でも合法に舵を切るのは時間の問題と言われている。

 3月、ハワイ州では娯楽用大麻の利用に関する上院法案を審議。反対3票に対し、賛成は7票と過半数を上回っている。まだ審議段階で可決されたわけではないが、今後法案が通る可能性は極めて高く、26年には合法化される見通しとも報じられている。

 しかし、ハワイは日本人にとっては馴染みのある海外リゾート。現在は円安物価高の影響で旅行者の数はコロナ前の水準には戻っていないとはいえ、海外旅行先として一番人気であることには変わりない。ただし、もし大麻が合法化すれば、これを理由にハワイを敬遠する日本人が増える可能性はあるという。

「ハワイは世代を問わず人気ですが、特に人気なのは子供のいるファミリー層。もしワイキキのビーチ沿いに大麻ショップが並び、そこら辺で吸ってハイになっている人がいれば、子供には絶対見せたくないはず。合法化による大きな経済効果を地元に与える一方、治安の悪化も懸念されます」(旅行誌編集者)

 嗜好用大麻の解禁から間もなく2年を迎えようとするタイの場合、首都バンコク市内の至るところにショップが乱立。そのため、コロナ禍が明けて観光客が戻って来ても日本人の家族連れの旅行者は少ないそうだ。

「大麻目当てに渡航する人も多いですし、ハワイも合法化になればそうなる可能性が高い。それでも一部の層に過ぎず、日本人旅行者にとってもプラス材料ではありません。現地には日本人に特化した旅行会社やガイドなどが大勢いますが、彼らの多くが戦々恐々としています」(同)

 できれば日本人旅行者に配慮して合法化を見送ってほしいところだが……。

(高島昌俊)

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