【ロシア】ウクライナの「ロボット犬」投下に対し「刑事被告人」を前線に送り込む地獄絵図

 ロシアによるウクライナ侵攻開始から、10月で2年8カ月が経った。長期にわたる戦闘で兵士不足が深刻化しているロシアは、6月にロシア市民権を取得した移民のうち、1万人を新たに軍に登録させ、戦闘の最前線に送り込んだことが明らかになっている。

 これまでロシアでは、刑務所などに収監中の受刑者に対し、「軍に入隊後、前線で6カ月間勤務にあたれば、帰還後は無罪放免にする」という特例を設け、多くの囚人兵を戦地に投入してきた。受刑者の権利確保活動団体「グラグ・ネット」によれば、多い時には受刑者1000人以上が一気に動員され、空になった刑務所もあったという。

 しかし、法律を改正してまで投入してきた囚人兵士らも、戦争の長期化で激減したとも言われる。そこでプーチン大統領が次に打った策が、移民らに対し、ロシア市民権を渡す代わりに軍に登録させて戦地へ送り込むという手段だった。

 もっとも、さすがに移民という外国人を戦地に投入することに対しては諸外国からの反発もあった。そこで、ロシア政府が次に打ち出した策が、「裁判中の被告人」を戦地に送るという法律改正案だった。

「つまり、被告人は『軍隊に行きます』と手を挙げれば、起訴が取り下げられ裁判を受けずに済むのです。プーチン氏は10月2日、この新たな刑法改正案に署名しました」(ロシアウオッチャー)

 囚人や移民、被告人まで戦場に兵士を送り込もうとするロシア。一方、そんなロシア軍を迎え撃つべく、ウクライナ軍が導入しているのが「ロボット犬」だ。

 戦場におけるロボット犬の役割は、弾薬の運搬に始まり、監視、前線部隊への支援など幅広いが、昨年以降、ウクライナ軍は公式SNSなどで、前線にロボット犬を投入している映像を積極的に配信している。

「中でも、ドローンで輸送されたロボット犬が上空から着陸し、活動するシーンはまさに近未来の戦場を思わせるものでした。ロボット犬なら人間では行けないような厳しい地形でも偵察できるため、地上作戦をより優位に展開できる可能が高まります」(前出・ウオッチャー)

 ウクライナ軍はこれまでにも、ドローンの他、さまざまな自律型、あるいは遠隔操作型兵器を戦場に投入してきたが、ロボット犬には、国際法で禁止されている火炎放射器等の兵器転用も可能とされているため、その使用法については注視が必要とも言われる。

 とはいえ、なりふりかまわぬ兵士の投入や最新ロボットの導入など、3年になろうとしている戦争には、いっこうに終わりが見えないのである。

(灯倫太郎)

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