不動産バブル崩壊の不安からか、中国人の財布の紐はすっかり固くなってしまったようだ。中国に進出した日本の外食チェーンも苦戦を強いられている。
はなまるうどんと丸亀製麺は22年に相次いで撤退したが、これは新型コロナの影響もある。ただし、今年も6月末にモスバーガーが、10月末には台湾発の点心専門店「鼎泰豊」の全店舗が閉店している。
逆に絶好調なのが、激安メニューを武器に急成長を続ける地元資本の中華系バーガーチェーンだ。その代表格である「華莱士(ウォレス)」は、KFCと似たようなメニュー構成で約1万6500店舗を展開。これは本家KFCの約1万店、マクドナルドの約5500店を大幅に上回り、中国国内における店舗数ランキングではダントツ1位だ。
「ウォレスは12元(約258円)や14元(約301円)といった安いセットメニューが充実。さらに期間限定ですが5品19.9元(約428円)、8品29.9元(約643円)という複数人向けのシェアメニューも激安で、若者やファミリー層から支持されています」(中国事情に詳しい全国紙記者)
また、ウォレス以上の勢いで規模を拡大させているのは「塔斯汀(タスティン)」。現在7000店を突破し、中華系バーガーチェーンでは第2の勢力となっている。
「ウォレスよりは若干高めですが、それでもマクドナルドやKFCよりは安いです。ここはよくあるパクリチェーンとは一線を画し、1300年前に陝西省で生まれた中華パンで肉を挟む『ロージャーモー』という料理をファストフード風にアレンジしています」(同)
バーガー系ではないが「瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)」は創業から17年と歴史は浅いが現在2万店を突破。短期間で中国国内はおろか、全世界のスターバックスコーヒーの店舗数を超え、世界一のカフェチェーンとなっている。スタバの半値以下という価格が魅力で、多くの利用客を奪ってしまった形だ。
いずれのチェーンも中国のみならず、東南アジアなど国外にも進出。旅行先や出張先で見かけた際には立ち寄ってみてはいかが。
※画像は、中華系バーガーチェーン「華莱士(ウォレス)」