トランプのブチギレでついに欧州もゼレンスキーに引導か…「4月電撃終結」の信憑性は

 ウクライナの支援を継続する代わりに、あなたには退いてもらいたい!あとは我々の方でトランプとうまくやっておくから、とりあえずは施政方針演説前にトランプに手紙を送っておいてくれ――。おそらく、ゼレンスキー大統領とイギリスのスターマー首相、フランスのマクロン大統領との間で、こんな会話が交わされたのではないか。そんな推察できるのが、3月4日、トランプ氏が施政方針演説で公表したゼレンスキー氏からの手紙だった。

 そこには、できるだけ早く交渉のテーブルに着く用意があること、そして、アメリカが求めている鉱物資源の共同開発を巡る合意にもいつでも署名をすると記されていたという。

 2月28日に実施されたゼレンスキー氏とトランプ氏との怒号が飛び交う激しい口論により、トランプ氏は3月3日、ウクライナへの軍事支援の一切を一時停止すると発表。すると、当初はキーウ市民ら「彼を誇りに思う」と称賛され、「大国に屈しない信念のリーダー」とメディアでも持ち上げられていたゼレンスキー氏があっさり「譲歩」の姿勢を見せ、米当局関係者の間からは、冒頭のようなやり取りがあったのではないか、との憶測が広がっているという。外報部記者の話。

「ゼレンスキー氏最大の失敗は、まず通訳を付けずにトランプ氏との会談に臨んだことです。会談が荒れはじめたのは、トランプ氏が『これは誰かに肩入れするという問題ではない』と説明、バンス副大統領が『和平への道、繁栄への道とは、外交に取り組むことかもしれない。アメリカがいい国になるには外交に取り組むことだ』と続けたあたりから。これにカチンときたゼレンスキー氏が厳しい口調で詰め寄り、両者の議論がヒートアップしたわけですが、ゼレンスキー氏はウクライナ東部出身で、母語はロシア語。大人になってからウクライナ語の猛特訓を受け、英語も話すようになったとされます。そのため形式的な会談であれば問題ないものの、外交交渉のようなセンシティブな課題を扱う会談では配慮が必要になるため、当然、通訳が必要になる。どういう意図があったかはわかりませんが、それをしなかったことが最大の失敗だったと考えられます」

 しかも、仲介者というのは基本、中立であることが鉄則で、どちらかに寄ってしまったら取り引きなど成立するはずもない。

「誰の目から見ても、今回の戦争はロシアが一方的に攻め入ったことで始まったのだから、ロシア=悪でウクライナ=正義に見える。しかし悲しいかな、戦争というのは互いに『大儀』や『正義』があり、それがぶつかり合って起こるもの。なので、どちらかが正しくて、どちらかかが悪いと決めつけてしまったら『仲裁役』など出来るはずがない。だからこそトランプ氏は、プーチン氏を激しく罵っていたバイデン前大統領は、この戦争を絶対に止めることはできない、と断言してきたわけです」(同)

 とはいえ、自国で暮らす国民の命を奪われ、安全保障が脅かされ続けるゼレンスキー氏の怒りや不安は当然のことだろう。しかし、それを仲介役にぶつけ、「じゃあ、あとは自分たちでやってくれ!」とばかりに突き放され、それでも戦争が終わらなければ、死者数は膨れ上がっていくことになるだろう。

「自他ともに認める『ビジネスマン』であるトランプ氏は、一刻も早く戦争を終結させ、ウクライナ領土をビジネスの場に変えようとしているわけですからね。むろん、この戦争がズルズルと長引けば支援額が増え、政権の支持率にも影響を与えかねない。そう考えると、皮肉なことですが今回の激しい口論が、和平を大きく前進させたことは間違いない。気の早い一部メディアでは、キリスト復活祭にあたる4月20日までに停戦が実現するのではないか、とも伝えていますが、おそらくは戦争終結条件に、ゼレンスキー氏の辞任が盛り込まれている可能性は極めて高い。行方が気になるところですね」(同)

 3月4日、「物事を正す時だ」としてトランプ氏の「強力なリーダーシップ」の下、永続的な和平の達成のために動く用意があると表明したゼレンスキー氏だが、その運命は…。

(灯倫太郎)

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