《今回のお値段「Jリーグクラブ」:60クラブ年間支出 1600億円前後(人件費はその40~60%)》
いよいよ今年もJリーグが開幕する。26年からは秋春制に移行するので、今まで通りの2〜3月開催、年内に終了のシーズンは今年限りになる。
さて、そのJリーグだが、クラブを経営していくのに、どのくらいお金がかかるのか?
ある事情通によれば、
「J1からJ3まで60クラブもありますからね。年間売り上げ100億円を超えるところもあれば、3億〜4億円のところも。サンフレッチェみたいに新スタジアム効果で入場者が激増して41億円が78億円に爆上がりしたクラブもある。収入が増えれば、よりいい選手を獲るなど支出も増えるのは自然の流れです」
とりあえず収入の方から見ていくと、内訳はまずスポンサー収入。それに主催試合での入場料収入と物販収入やJリーグからの分配金。分配金は主に放送権料で、Jリーグ側が一括して受け取って各クラブに配分する。それにスクール事業などの収入、リーグ戦や天皇杯、アジアチャンピオンシップなどで得られる賞金、選手の移籍に伴う移籍金も入ってくる。24年でいうと、全60チームの総売り上げがだいたい1600億円前後。そのうちのスポンサー収入が約半分で、入場料収入が20%足らず。物販収入も10%くらい。つまりスポンサー収入の比率が相当高いのだ。
一方、支出となると、トップチームの場合、移動費、宿泊費、ユニフォーム代をはじめとした運営費に支出全体の10%程度はかかる。さらにはスタジアムの使用料、広告宣伝費、クラブ職員の人件費、販売するグッズの製作費などクラブ全体を運営するためにかかる経費も、通常30〜40%くらいを占める。
だが、やはり圧倒的なのは選手や監督、コーチら現場スタッフへの年俸や移籍金支出を含む人件費だ。Jリーグ全クラブの総支出が約1600億円とすれば、その40〜50%はこの人件費。チーム強化のためには売り上げの60〜70%を充てる例だってあるくらい。
ただし困ったことに、ここ数年、素早く戦力アップできる外国人選手の獲得が難しくなっているらしい。
「一つは円安。それともう一つが税金問題なんです。ヨーロッパと違って日本は税込みで契約するのが普通なんですが。日本の税制だと、家族も呼んで一緒に暮らそうとすると、単身で来るより所得税が割高になって、すでに円安で目減りした給料がさらに減っちゃう。だから、年俸が億を超えるような有力選手は日本に来たがらなくなってる」(前出・事情通)
その代わりに海外に出る選手は増える一方だ。かつて「サッカー選手輸入国」だった日本は、完全に「輸出国」に転じているという。
山中伊知郎(やまなか・いちろう)埼玉在住で、1993年のJリーグ開幕から、ずっと浦和レッズの年間シート席を買っている。レッズの試合を観戦して「川柳」をひねる「レッズ川柳」のコラムもウェブ・マガジン「浦和レッズについて議論するページ」(略称・浦議)で連載中。