【今回のお値段「デジタルフィギュア」:材料原価 プリンター代除くと1000円以上(1個 5000〜10万円くらい)】
「3Dプリンター」といえば、三次元、つまり立体的なモノをそのまま現実の物体としてコピーする機械で、かつては高価でなかなか一般人には手に入らなかった。しかし3Dホビーに詳しい、ある業界関係者によれば、
「最近は安い物だと5万円前後で、高くても30〜40万円もあれば、相当、高性能のものが買えます。誰でも簡単に使えるようになっていますね」
この3Dプリンターの普及で活況を呈しているのが「デジタルフィギュア」の市場だ。
デジタルフィギュアとは、パソコンやスマホなどの描画装置を通して3Dキャラクターを楽しむサービスや、データそのものの呼び名なのだが、パソコンなどからデータを取り込んで実際にフィギュアを再現してしまうところまで含む場合もある。そこで3Dプリンターを使うわけだ。
再現にどれだけおカネがかかるかというと、まずはCGアーティストが作ったような、元になるデータをパソコン上で買う。500円の安価なものもあれば、1万円超えるものもある。原材料は主にプラスチックだが、通常ならせいぜい1個作るのには300〜500円くらい。さらに、コピーされたものに色を塗る作業があり、塗料は何十色かまとまったものが売られていて、1個作るのに100円もかからない。
プリンターさえあれば、1000円くらいでできてしまうのだ。ただし、色を丁寧に塗っていかないといけないわけで、非常に手間もかかり、いわゆるそれが趣味の愛好家でないと、なかなか本気で制作できない。城など巨大なモノにチャレンジする時は、パーツのデータをダウンロードして、自分で樹脂を固めて組み立てていく作業も必要になったりする。
要するに、これ、かつての「プラモデル」と同じであり、ハマッているのも実は現役をリタイアした中高年層などが中心なのだとか。前出・業界関係者も、
「ヒットしているキャラクターも、昭和のアニメキャラ、鉄道モノなど高齢者が喜びそうなものが多い。鉄道車両なら、車輪部分は共用で、京浜東北線とか山手線とか、上だけ別のをかぶせればよかったりしますからね。サブスクで、月2000円ずつの会費で少しずつデータを送り、1年かければ大作が完成、なんてサービスもやってます」
フィギュアは欲しいが、自分が作るのはどうも、という人もいる。そんな人向けに2個作って、1個は手元に置き、もう1個をネットオークションなどに出せば、小さいものでも4000〜5000円、大作なら5000〜10万円くらいで売れたりする。
趣味と小遣い稼ぎが両立できる、なかなかオイシい実態があるようなのだ。「デジタル」は若者のもの、という発想はもう古いのかもしれない。
山中伊知郎(やまなか・いちろう)主催しているお笑いライブ「ちょっと昭和なヤングたち98」が3月25日(火)午後6時半から新宿Fu-で開催。100回記念は7月15日に江戸川区のタワーホール船堀大ホ—ルで開催予定だ。