全国展開せずいきなり海外進出するローカル飲食チェーンが増えている

 飲食チェーンが全国展開の次なる目標として掲げる海外進出。丸亀製麺にカレーハウスCoCo壱番屋、吉野家などモデルケースは数多く存在するが、一方でいきなり海外進出してしまうローカルチェーンも多い。

 中国など海外15カ国で600店舗以上を展開する「味千ラーメン」は、国内にはその10分の1の66店舗(※1月末現在)しかない。しかも東日本は未出店で、地元・熊本など店舗の8割が九州を占めている。

 また、タイとベトナムで約160店舗を展開する石川県の「8番らーめん」も国内のほうが116店舗(※1月末現在)と少なく、北陸3県と長野・岡山にしかない。

 他にも福岡など九州を中心にうどんや中華、焼肉など複数の業界でチェーン展開する「ウエスト」も米国や東南アジアで実績があり、滋賀発の焼肉チェーン「焼肉すだく」も中国や東南アジアなどで現地企業とのFC契約という形で海外店舗を精力的に増やしている。

 さらに東海地方ではその名を知らない者がいない「スガキヤ」も、インドネシアで6店舗展開。一時期は国内100店舗を超すも2店舗までに激減した「東京チカラめし」は、21年に香港へ進出して現地で人気店に。旭川ラーメンの名店「梅光軒」は、北海道と横浜に7店舗という小規模チェーンだが米国本土やハワイ、香港、タイ、ベトナムにも店舗を持つ。

「日本の飲食チェーンの場合はマニュアルがしっかり用意され、国内と同じクオリティでのサービスや料理の提供が可能です。海外では日本の飲食店の評価が高く、高単価でも集客できる。そのためリスクもありますが、ビジネス的にチャンスと捉える企業が多いようです」(経済誌記者)

 日本のみとなると人口も減少に転じ、相次ぐ物価高で消費者が外食費に使える余裕がなくなるなど頭打ちの状況は否めない。会社の規模を問わず、飲食店が海外に目を向けるのは当然のことなのかもしれない。

※写真は、タイ・バンコク市内にある「8番らーめん」

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