アジア系外国人観光客の間で人気スポットとなっていた北海道美瑛町のシラカバ並木。氷点下になる冬場にも連日、多数の観光客が訪れていたが、路上駐車や写真を撮るために周囲の畑へ無断侵入したり、道いっぱいに広がって交通の妨げになるなど、迷惑行為が問題になっていた。
こうした状況を受けて地元住民団体は、1月14日にシラカバ並木を伐採。白樺が成長しすぎたことで隣接する畑の農作物の生育に影響が出たことを理由に挙げたが、大挙して押し寄せる外国人観光客の迷惑行為も一因になっていたのは間違いないだろう。
伐採後まもなく、記者は旭川からJR富良野線に乗って美瑛を訪ねたが、車内はワンマン運転のローカル線とは思えぬほどの大混雑。荷物を座席に置いている外国人乗客が何人もおり、途中駅から乗ってきた年配女性が座れずにいた。
美瑛駅に到着すると、駅前は外国人観光客ばかり。スマホやカメラで写真を撮りまくっている。観光名所の「青い池」に向かう白金温泉行きのバス停は大行列になっていた。
この路線バスをたまに利用するという沿線在住の70代の女性は「美瑛駅前で観光客がたくさん乗ってくるため、通院している町立病院のバス停から乗っても座れないことが多く、年寄りには辛い」とこぼす。
「観光客がポイ捨てしたのか、春になると道路脇の雪の下からペットボトルなどのゴミが出てくる」と言うのは農業をしている60代男性。さらにこの男性の友人だという50代農家男性は「見たことはないが、雪の上で立ち小便をしている外国人もいるらしい」と呆れた様子で話していた。
本来、多くの観光客に足を運んでもらえるのは地元にとって喜ばしいこと。だが、住民の生活に悪影響を及ぼすようでは意味がない。現在、各地でオーバーツーリズムが社会問題となっているが、国や自治体は現地調査をして、より真剣に向き合う必要があるだろう。
(トシタカマサ)
※画像は、伐採前の美瑛町のシラカバ並木