NHKの「大河ドラマ館」といえば、例年1月下旬から12月末までの期間限定でオープンする大河ドラマの展示施設だ。今年の「光る君へ」では、吉高由里子演じる主人公・まひろ(紫式部)が「源氏物語」の執筆を始めたとされる石山寺(滋賀県大津市)と、越前国司に任じられた父・藤原為時とともに1年半滞在した福井県越前市、源氏物語の舞台の中心地として知られる京都府宇治市の3カ所で営業中だ。
だが、この施設をめぐり、SNS上では《全体的にショボイ》《とにかく残念すぎる》など不満や批判が多く見られる。しかも、こうした施設批判は今年に限った話ではなく、歴代の大河ドラマ館でも似たようなコメントが少なくなかったという。
「会場によって多少差はありますが、大河ドラマ館のスペースは狭く、展示物も多くありません。しかも、有料(大人1人600円)のため、余計に不満に感じるのでしょう」(旅行誌編集者)
記者も延伸開業した北陸新幹線を利用し、「越前大河ドラマ館」を訪問してみた。最寄りの越前たけふ駅から大河ドラマ館までは約4キロ。新幹線の時間に合わせてシャトルバスが運行しているのはよかったが、肝心の展示スペースはテニスコート1面分よりも狭かった。
展示物も衣装1点に小道具が数点、あとは主人公の父・藤原為時の居室を再現した立体展示くらい。大河ドラマ館でしか見られない映像が見られるミニシアターは良いとしても、壁にある登場人物のプロフィール紹介は番組公式ホームページの情報と大差ないレベルだった。居合わせた入場者の中には「これだけなんだ…」と残念そうに呟いていた人もいたが、記者も同じ心境だったのは言うまでもない。
「ただ、大河ドラマ館はストーリーの進行に合わせて何度かリニューアルされます。物語が佳境に迫った番組後半の時期のほうが展示物が充実するんです。だから、行くなら秋以降の時期がオススメです」(前出・編集者)
「光る君へ」は11話の世帯平均視聴率がいずれも10%台前半という状況だが、ドラマ館の評判も視聴率同様、決して高いとは言えないようだ。
(トシタカマサ)
*画像は越前大河ドラマ館の記念撮影スポット