世界の「SHOGUN 将軍」ファンに見せたい日本の「時代劇ヒーロー」20(2)「座頭市」勝新は監督にダメ出し

 まだまだ現役の〝上様〟「暴れん坊将軍」が4位に入り、貫禄を見せた。

「正月に放送された新作、お年を召した健さん、よかったですよ。黄門様も上様も『待ってました』の世界。視聴者が望むように悪人たちを成敗してくれるのを待っているんですよね。家重(なにわ男子・西畑大吾)や宗春(GACKT)がどうだったか、ツッコみだしたらキリがない。レギュラーシリーズでも『江戸壊滅の危機! すい星激突の恐怖』なるエピソードもありましたから、暴れん坊はファンタジーでいいんです」(ペリー氏)

 5位には松平健の師匠・勝新太郎の「座頭市シリーズ」が斬り込んだ。

「新・座頭市」では斬られ役として、至近距離で勝を見てきた山本氏が振り返る。

「太田昭和監督が別れの悲しいシーンの撮影で、やたら甲高い声で『本番、用意スタート!』。すると市の顔から、眼光鋭い素顔に戻った勝さんが『お前、NGだよ。これからどういう件を撮るのかわかってるのか? 悲しいシーンを撮る時はな、悲しいシーンを撮る時の物静かな『用意スタート!』って言い方があるだろうよ。役者は生き物なんだぜ。その辺のところをもう少し繊細にやってもらわなきゃ困るじゃねぇかよ』と、監督にダメ出ししたんです(笑)。そんな光景、後にも先にも見たことないですよ」

 原作の長ドスを仕込み杖としたのも勝新。主演であり監督でもありプロデューサーでもあったのだ。

「『新・座頭市』の最終回は、映画『砂の女』を撮った巨匠・勅使河原宏監督を東京から招いての撮影でした。でも勝さんはいつものワンマンぶりを発揮して、セリフを全部変えちゃった(笑)。勅使河原監督は『そんなに勝手なことをするんだったら1人で撮れ!』と激怒して、台本投げ捨てて現場を放棄したんです。さすがの勝さんも拡声器を手に『勅使河原さ〜ん、機嫌を直して帰ってきてください〜』って呼び戻そうとした。端で見ていた僕たちに『お前らも言え!』って。監督は一瞬振り返り『ふざけんじゃないよ!』と吐き捨て、そのまま撮影中止になりました」(山本氏)

 勝新伝説は令和になっても絶えることがない。

 6位は必殺シリーズ第一弾、緒形拳主演の「必殺仕掛人」が睨みを利かす。初期の必殺の魅力をペリー氏が熱く語る。

「放送時間的には『木枯し紋次郎』と重なって対決する形。今思うとこの二択は贅沢ですよ。紋次郎は孤独だけど、仕掛人はチーム戦。紋次郎は郊外しか歩かず、仕掛人は常に江戸にいるシティ派という対比も面白い。緒形拳が藤枝梅安を俗っぽく演じたことが新鮮だった。殺しを様式美に発展させたのは必殺の凄み。『必殺仕置人』では念仏の鉄(山﨑努) が素手で骨を掴んでへし折る。その際レントゲンの映像で描写されたり。個人的には『必殺必中仕事屋稼業』が大好きでしたね。母・おせい(草笛光子)と生き別れた仕事屋・政吉(林隆三)が、最終回に元締めでもあるその母の目の前で死んでしまう衝撃のエンディングで大泣き。次の日、学校に行けなかったほど。親には『バカ』と言われましたけど(笑)」

【血湧き肉躍る!もう一度見たい時代劇ドラマ20】

1位:必殺仕事人(藤田まこと)359票
2位:水戸黄門(東野英治郎)289票
3位:木枯し紋次郎(中村敦夫)198票
4位:暴れん坊将軍(松平健)192票
5位:座頭市物語(勝新太郎)175票
6位:必殺仕掛人(緒形拳)162票
7位:遠山の金さん(杉良太郎)154票
8位:大岡越前(加藤剛)150票
9位:子連れ狼(萬屋錦之介)139票
10位:影の軍団(千葉真一)128票
11位:鬼平犯科帳 121票
12位:銭形平次 119票
13位:桃太郎侍 113票
14位:江戸を斬る 108票
15位:浮浪雲 104票
16位:大江戸捜査網 100票
17位:女ねずみ小僧 97票
18位:伝七捕物帳 87票
19位:長七郎江戸日記 86票
20位:柳生一族の陰謀 84票

(つづく)

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