「ととのう」とは何だったのか…サウナ好きが震える「水風呂ショック」の危険度

 気温や室温の変化によって血圧が急激に上下し、心臓や血管の疾患が起こる「ヒートショック」。亡くなった中山美穂さんも浴室で倒れていたことからヒートショックとの関係性も取り沙汰され、にわかに注目を集めている。

 特に入浴時は急に体温が温まり、発汗によって血液粘度が上昇。脳梗塞や心筋梗塞の発症や、血管が開くことで血圧が低下し、失神による溺死の危険性が高まる。

 消費者庁によると、2019年の浴槽内の死亡者は約4900人で、約9割が65歳以上の高齢者だという。また、2023年の人口動態統計によると、約6000人の高齢者が浴槽で溺死しており、これは交通事故死で亡くなった約2000人の3倍にも上る。しかも、最近は高齢者だけではなく、40~50代にも多く見られる傾向にあるというのだ。

 確かにこの時期になると、あちこちで「急に熱い湯船に入らないように」「温度差は10度以内に」などと注意喚起がなされるようになるが、そんな折も折り、まさに身震いしているのが「サウナ好き」だ。

 SNS上では、《『ととのう』とは一体何だったのか》《サウナで急に水風呂に入るのヤバくね。今まで喜んでやってたわ》《心臓に負担をかける行為だったとは…》などといった声が上がっている。中には、《ととのうっていうのは、健康になるための行為ではなく、快楽のために寿命を削る行為》などと揶揄する声も。

 近年のサウナブームで一気に広まった、「ととのう」というワード。これはサウナと水風呂の温冷刺激によって「β-エンドルフィン」「オキシトシン」といった物質が脳内に分泌され、うつ病の改善や精神安定に効果があるとされていた。一方で、急な温度差で自律神経反射が起こって失神する可能性も指摘されており、実際にサウナで倒れる人は少なくなかったという。多くはその場で緊急搬送され、大事には至らないというが、1人暮らしの自宅風呂の場合などは、ヒートショックでそのまま誰にも気がつかれずに亡くなってしまうケースが増えている。

 一時期のブームは去ったとはいえ、今でもサウナで水風呂に入るのを楽しんでいる人は多い。中高年者は特に注意が必要だろう。

(ケン高田)

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