神奈川県座間市にある老舗銭湯が、サウナの無断使用など客の迷惑行為が原因で約57年の営業に幕を下ろし、5月30日をもって閉店することを発表した。
「閉店を決めたのは1967年に創業し、座間市で唯一の銭湯である『亀の湯』。井戸水を薪で沸かしたお湯は地元民からも愛されていますが、5月16日にXで突然の閉店が発表されたのです。理由は、サウナ代を払わずに無断利用したり、カスハラや備品の盗難などもあったといい、注意しても改善がみられなかったことから『営業を続ける意欲が無くなった』と説明しています。店主は、亀の湯を大切に想って通い続けてくれた常連に感謝し、その存在を励みに頑張ってきたものの『もう限界』と悲痛な思いを吐露したのです」(社会部記者)
今年3月にも客のマナー違反によって閉店した施設がある。鹿児島県鹿児島市にある「太陽ヘルスセンター」はサウナ室で男性客同士が抱き合ったり、いかがわしい行為をするといった迷惑行為が相次ぎ、出禁にするなど対処してきたが収まらなかった。結果、一般客足が遠のき閉店を余儀なくされたという。
「5月20日に日本総研が発表した『日本のサウナ実態調査2024』によると、23年のサウナ人口は前年よりも増加。特にライトユーザーは大きく増えているものの、月に1回以上利用するミドルユーザーやヘビーユーザーは減少していたことが分かっています。昨今のサウナブームによって業界は潤ってると思われがちですが、エネルギー費の高騰などもあってどこの施設も苦しい経営状況にある。そんな中でライトユーザーによるマナー違反で常連が離れていき、閉店に追い込まれる施設も少なくないのです。マナーの悪いライトユーザーにより愛好家が離れる構図はアウトドアブームと非常に似通っており、サウナも間もなくブームが終焉するのではと危惧する声も出ているのです」(サウナライター)
サウナ施設はブームによって必ずしも「ととのって」いたわけではないようだ。
(小林洋三)