シソンヌがチョコプラのためにキングオブコントの楽屋で起こした「奇跡」

 お笑いコンビ・チョコレートプラネットの人気に火が点いたのは、松尾駿がものまねした美容研究家・IKKOがきっかけだ。現在大ブレイク中のものまねピン芸人・りんごちゃんと同じく、日本テレビ系バラエティ「ウチのガヤがすみません!」にて発掘された。

 松尾はIKKO公認で、スーツを提供してもらっている。松尾によってIKKOもタレント寿命を延ばしたといえよう。
 
 相方の長田庄平は、狂言師・和泉元彌のものまねで知られる。松尾の「どんだけ~」と長田の「そろり、そろり」は、すっかりおなじみだ。

 結成13年。先に売れたエド・はるみ、パンサー・向井慧と同期だが、シソンヌ(長谷川忍&じろう)には特別な思いがあるという。お笑いに詳しいエンタメ誌記者が教えてくれる。

「チョコプラは、メジャーになる前の『キングオブコント』の08年大会で決勝戦に進出しましたが、その後はスランプ続き。14年に再び夢舞台に返り咲きましたが、ファイナルステージでシソンヌに大敗。この模様はTBS系列で全国に生放送されましたが、舞台裏で奇跡が起きていたのです。楽屋で、じろうさんの9年前に亡くなったお母さん・幸子さんの写真が、テレビモニターの方を向いていたというのです」

 じろうは、ここぞという仕事の時に、フォトスタンドに入った母の写真をカバンに入れる。キングオブコント決勝もそうだった。机に立てて、本番前に祈りを捧げた。KOCの楽屋は、出演芸人全員が共同で使用する大部屋。室内はピリピリムードだったため、長谷川はじろうに注意したという。仕方なくスタンドを机に伏せて、本番に臨んでいる。

「楽屋に戻ってくると、写真がモニターを見ていたのです。『こんな奇跡あるんだな』『優勝させてくれたんだ』と感激した2人でしたが、当然、写真が勝手に立つわけがない。シソンヌよりもあとに楽屋を出たチョコプラが、写真をそっと立たせて、息子の晴れ舞台を見せようと、モニターに向けておいたのです」(前出・エンタメ誌記者)

 同じ釜の飯を食ったチョコプラとシソンヌ。大会ではライバルだが、思いやりの精神は失わないのだ。

 そんなチョコプラはものまね以外でもTT兄弟が大人気。地上波でも司会、ひな壇としても実力があることがようやく認められた。

 一方のシソンヌは、独自路線をまい進。じろうは、「寝ないの?小山内三兄弟」(日本テレビ系)で脚本、主題歌「一人で寝たくnight!」の作詞も手掛けた。宮藤官九郎・脚本のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」には俳優として出演しており、前作「西郷どん」に続いて、大河2作連続出演だ。

 長谷川はコメディドラマ「パパ、はじめました」(BS日テレ)に、同じく俳優で出演中。2人は多忙ながらも、単独ライブ「モノクロ」で18年から19年末までで47都道府県を行脚している。

 KOCでは明暗を分けた2組。だが今は、互いに地歩を固めている。泥水をすすった時間が長かった分、現在はわが世の春を謳歌中だ。

(北村ともこ)

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