元手タダ“家ゴミ→お宝化”計画(60)売れる名刺、売れない名刺

 出張先の本誌編集部員Iから机に置き忘れた「資料を探してくれ」との依頼。だが、グウタラを地で行くIのデスクはゴミの山だ。肝心の資料はなかなか出てこない。代わって大量に出てきたのが、夜の嬢の名刺。その手の店に取材に行くことはあるだろう。でも時節柄、これ見よがしに置いてあってはハラスメントにもなりかねない。捨てるぞ!

「ちょっと待ってくださいよ。そのうち価値が出て、売れることだってあるかもしれないじゃないですか」

 と、Iが懇願するので調べてみた。例えば、京都の舞妓や芸妓が配る「花名刺」。ヤフオクで10枚セットが1万8500円の値を付けたことがあった。より幅広く調べていくと、戦前の軍人の名刺が束になって数千円で落札されていた。

 Iの名刺は、舞妓のように風情もなく、「●●人妻クラブ」など露骨すぎて売れそうにない。かといって、アンティークとして価値が出るのは50年以上先のこと。Iが生きている可能性は低い。よって、捨てるぞ!

「待った! 某アイドルがあるサービス店に勤務していたという噂があったのを知ってます? その疑惑の直筆名刺が数万円で闇取引されたことがあるんです。その中に、ひょっとしたら‥‥」

 万に一つもないような可能性を訴えるIに説得力はない。やはり、捨てるぞ!

「乗り換え割引というのがあって、他店の名刺を持っていくと安くなる店があるんですよ。捨てないで」

 新店開拓ぐらい、仕事にも精を出しくれよ!

マネー