アメリカ国防総省の発表によれば、ロシアに派遣された北朝鮮軍の兵士は1万人。現在はロシア東部にて訓練を受けているが、今後は前線へと派兵される見込みで、アメリカのバイデン大統領も「非常に危険だ」との声明を出した。気になるのは北朝鮮軍の実力だ。北朝鮮事情に詳しいジャーナリストが解説する。
「北朝鮮のトップである金正恩総書記は10月のはじめに、特殊作戦部隊の訓練基地を視察しています。そこは並外れた身体能力の持ち主しか入隊を許されないエリート部隊で、『暴風軍団』とも呼ばれています。おそらくロシア軍に派遣されれば、対ウクライナの最前線で戦うことになる。金総書記は、派兵直前の激励を兼ねて訪れたと見られています」
北朝鮮の精鋭部隊・暴風軍団を詳報したのが10月27日放送の「真相報道 バンキシャ!」(日本テレビ系)。かつて暴風軍団に所属していたという脱北者の元兵士の男性は、インタビューで訓練の内容を聞かれるとこう答えた。
「35キロの重りを背負って12キロの山道を歩く訓練がありました。他に長さ3メートル、重さ120キロから150キロほどの丸太を2人で担ぐ訓練もありました。担いで山を登って、下りてこられた人だけ食事にありつけるんです」
番組では、暴風軍団の訓練シーンと見られる朝鮮中央テレビの映像を紹介。そこには雪山を上半身衣服ナシで駆けずりまわる兵士や、凍った川の水に飛び込む兵士の姿が映し出されていた。また、兵士同士がハンマーや丸太で互いの体を痛めつける衝撃シーンも放送され、ネット上では「まるで男塾の世界!」「人間を超越している」「ウクライナはこんなの相手にしなきゃいけないのか」などと驚きと恐怖の声があふれていた。
「インタビューで北朝鮮の元兵士は、熱い砂に手刀を叩きこんで、目に見えないほどのスピードの突き技を習得したと語り、実演して見せていました。暴風軍団は白兵戦で無類の強さを発揮するでしょう。とはいえ、現代では戦争の様態も変わり、ドローンによる無人攻撃が主流になりつつあります。ロシアにはミートグラインダー(ひき肉製造器)と言われる人海戦術で多くの犠牲者を出している“前科”もあり、無計画に前線へと送りこめば同様の結果を招くことになるでしょう。また、満足にロシア語も通じないとなれば、密な連携が求められる市街戦でも混乱を招く可能性があり、しばらくは後方支援にまわることが予想されます」(軍事ジャーナリスト)
にわかに注目が集まる北朝鮮の暴風軍団。そのヤバすぎる実力が戦地で発揮される日は訪れるのか。
(倉田はじめ)
※写真は「労働新聞」より