10月10日に告示された参院埼玉選挙区の補選は、無所属新顔の上田清司氏とNHKから国民を守る党、いわゆる「N国」党首で前職の立花孝志氏の2人が立候補し、参院の補選という地味な選挙でありながら全国的な注目を浴びることになった。
「今回の補選は、8月の選挙で知事になった大野元裕議員が知事選に出馬するために辞職したことに伴うものです。上田さんと立花さんの一騎打ちになったのは予想通りでしたが、国政選挙で自民や立憲民主などの主要政党が擁立を見送るのは異例です」(全国紙記者)
上田氏はもちろん前埼玉県知事。しかも4期16年間も務めあげ、衆院でも3回も当選回数のある大物だ。対する立花氏はもはや説明はいらないだろう。N国旋風を巻き起こし、毀誉褒貶含めなにかと話題の多い人物だ。その顔ぶれだけでも注目に値する。
それに輪をかけて話題となっているのが選挙ポスターだ。「海はない、空港もない、だが補欠選挙はある!!」とのキャッチコピーに独特の漫画家・魔夜峰央氏のBL風イラストが印刷されている。そう、今年に実写映画がヒットした『翔んで埼玉』とのコラボ・ポスターなのだ。
「『また選挙か……』だと? 大切な1票を無駄にするなー!!」との独自の自虐ネタのコピーが躍るその狙いは、もちろん投票率アップだ。実は8月の知事選で実現したコラボで、結果、前回選挙の26.63%から32.1%に大幅アップした。今回は続投で、平成3年に17.8%と全国最低に沈んだ投票率のアップを目指す。
また、前回はうちわと塩飴の呼びかけグッズが配られたが、今回はハーブティーのティーバッグ1万5000個が街頭配布され、知事選時に70万再生を超えたコラボ啓発動画も、電車内や駅のサイネージで流す「マイルド版」とユーチューブ限定の「ハード版」の2種類が作成された。
県の選管では、「前回の知事選で効果に手応えを感じた。1人でも多くの方にまずは補選があることを知ってもらい、その上で投票機会を行使してほしい」としており、目立たない補選としては異例の高投票率になるかもしれない。
「無関心は、ださいたま!」(PR動画より)
(猫間滋)