「中国製監視カメラ」で機密情報筒抜けか!韓国軍が1300台撤去の衝撃

 9月13日付の韓国紙「聯合ニュース」による、安価を理由に現在も「中国製監視カメラ」が使われていたとの報道は、欧州の自治体関係者の間に衝撃を走らせたことだろう。

 報道によれば、ここ最近、韓国軍が基地内に設置されていた中国製監視カメラ何と1300台を、一斉に撤去。なんでも、このカメラは製造元に関する書類が偽造され、中国製であることを隠して納入されたもので、中国国内にある特定のサーバーに接続される設計になっていたというのだ。

 一般企業ならまだしも、国の防衛を司る軍基地内の監視カメラ映像が、中国側に筒抜けになっていたとなれば大問題だ。同紙の取材に軍関係者は、「今年7月の設備検査で中国製であることが判明した。南北の非武装地帯などの監視ではなく、訓練中の部隊や基地の境界フェンスを監視するために利用されていた。実際のデータ漏洩はなかったが、安全保障上のリスクに配慮し、すべてを回収、他の製品に交換する作業を進めている」と語っているが、はたして本当に情報漏洩がなかったかについては、極めて疑問だ。

「というのも、中国は2017年に『中華人民共和国国家情報法』を施行。この法律の第7条には『いかなる組織および個人も法に基づき国の情報活動に協力し、国の情報活動に関する秘密を守る義務を有し、国は、情報活動に協力した組織および個人を保護する』とある。つまり、企業であれ個人であれ、中国の国民は国からデータ提出を求められれば、それに逆らうことは出来ないということ。この法案成立を受け、欧米が『TikTok』をはじめとした中国製アプリの使用禁止の動きに乗り出したことはよく知られる話です」(国際部記者)

 米国で成立された「政府端末でのTikTok禁止法」は、連邦政府職員が公務で使用する携帯電話でのTikTokの使用を禁じたもので、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)に加盟するカナダや、英国、ニュージーランドもこれに追随。監視カメラについても、米国ではファーウェイやZTEほか、他の電子機器メーカー製品についても、安全保障上の理由で販売禁止措置が取られている。

「英国政府も警察の監視カメラに中国製品が使用されていたことを受け、22年に政府庁舎などの中国製監視カメラを撤去を関係機関すべてに通達。豪州政府も国防施設における中国製監視カメラを排除しています。しかし、日本をはじめ欧州には、いまだ安値を理由に中国製のネットワーク型監視カメラ(IPカメラ)が売上を伸ばしていることも事実。IPタイプの監視カメラは個々の監視カメラがIPアドレスを持ち、ネットワーク経由でどこにいても映像を確認することができるというスグレもの。ただ、遠隔操作が可能なため、カメラ内に情報を抜き取ることが出来るバックドアを暗号化して忍ばせておくことも容易なんです。結果、中国に設置されたクラウドサーバーからアクセスして情報を抜き取ったり、内部ネットワークに侵入してデータそのものを破壊することもできる。今回韓国軍は、直接的な被害はなかったという談話を発表していますが、はたしてその言葉を鵜呑みにできるかどうか。被害に晒されている可能性は十分考えられますね」(同)

 中国の国家情報法施行を受け、韓国では18年には韓国情報通信技術協会(TTA)が、監視カメラのセキュリティを審査する「公共機関用IPカメラ/NVRセキュリティ性能品質TTA Verified認証」試験制度を導入。韓国のセキュリティ製品に対し厳しい目を光らせてきたが、中国もさるもの。近年では韓国のバイヤーと結託して、別の国の製品と偽って販売しているケースも急増しているという。

 むろん、日本においても、この問題は対岸の火事では済まされない。すべてが安かろう悪かろうとは言えないものの、極端に安価な中国製監視カメラ導入は避けるべきなのである。

(灯倫太郎)

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