今年6月から9月上旬にかけて、京都府久御山町の周辺で多発したのが京野菜「九条ねぎ」の大量窃盗事件。畑で栽培中の九条ねぎが何者かによって刈り取られ、被害は3トン以上にも及んだ。地元警察などがパトロールを行い、警戒を強める中、9月12日に窃盗の容疑で逮捕されたのが27歳の男。驚くことに、男は農業従事者で九条ねぎの生産者だった。
この事件を詳報したのが、9月15日放送のフジテレビ系「Mr.サンデー」。番組では、監視カメラがとらえた犯人の姿を公開。畑にある大量の九条ねぎを刈り取り、籠に入れていく様子を紹介した。盗んだ九条ねぎは約216キロで、被害総額は約19万円にのぼるという。
「監視カメラがとらえた犯人の映像をオンエアする際、顔にボカシを入れるのが通例でしたが、このねぎ泥棒に関しては顔と実名を公開しました。この措置にネット上では《いつもは顔出さないのに…》《性的犯罪者も顔と実名バンバン出せや》といったリアクションが寄せられていました」(メディア誌ライター)
犯行の背景には、猛暑による九条ねぎの生育不良があった。逮捕された農業の男も不作に悩まされていたようで、男の知人は番組の取材に「取引先と契約しとってねぎがどうしても必要やったんちゃうかな」と語っていた。他人の畑から盗んだ九条ねぎを自分の畑で収穫したものだと偽装して出荷していた疑いもあるという。さらに番組では、窃盗被害にあった農家の男性のこんな声を伝えた。
「盗むのであれば、他人のねぎを盗むのではなくて情熱とか、技術であったり、そういうところを盗んで、自分の成長に役立ててほしかったですよね」
このコメントにSNSでは《盗むなら情熱と技術を…これは名言》《同じ農家として心が痛むよね》《農家さんの言葉に胸が熱くなった》などと大反響を呼んだ。
「逮捕の手がかりとなったのは、犯行の手口。九条ねぎの刈り取り方が“素人”ではないと見た被害者が、いいねぎが育っているポイントにカメラを仕掛けたことで、犯行の一部始終を収めることができたようです。農作物の窃盗と聞いて、外国人による犯罪を思い浮かべる方は多いかもしれませんが、今回の事件は日本人による犯行で、しかもねぎ農家だったという点で大きな注目を集めることになりました。世間の関心度の高さから、顔出し報道もやむなし、という判断だったのでしょう」(前出・メディア誌ライター)
犯人の男はしっかりと罪を償ってほしい。