健康宅配チェックシート〈痛風〉(1)尿を「アルカリ化」させる食品

 たまの運動で大汗をかいた翌朝に襲来する「ズキズキ」と疼くような痛み。真っ先に捻挫や骨折を疑いがちだが、その正体は「痛風」かもしれない。単なる関節痛として放置するのは絶対にNG! 大病にいざなう負のポテンシャルを見逃してはならないのだ。

 読んで字のごとく「風が吹くだけでも痛い」のが、痛風の特徴だ。経験したことのある諸兄にしか言い表せない激痛は、主に親指の付け根、足首、ヒザなどの下肢を中心に現れる。神奈川県海老名市にある「石坂整形外科クリニック」の石坂淳院長が発症のメカニズムを解説する。

「原因は高尿酸血症による炎症です。血液中で溶けきれなくなった尿酸は『尿酸塩結晶』として関節に析出していきます。結晶を白血球が異物と認識して攻撃することで、痛みを伴う炎症が起こるんです。手や腕の関節に発症するのは非常にレアケース。どうしても、体全体でも温度の低い足の方が尿酸は結晶になりやすい。診察室に足を引きずって来られる方も珍しくありません。発症前には、疼くようなムズムズとした違和感があるみたいです」

 原因となる「尿酸」の原料はプリン体。推奨されている1日の摂取量は400ミリg以下で、鶏肉の手羽なら5本(約300g)、ヤリイカなら1杯(約250g)と、1日に3食を食べていればすぐに到達してしまう。

「プリン体は細胞の核に存在するだけに、ほとんどの食品に含まれています。その含有量の多い、レバー類や魚類を大量に食べる習慣のある人は発症のリスクが高まります。特に干物は水分量が減って、相対的にプリン体が凝縮されている。意外かもしれませんが、イカとエビもプリン体の多い食品なので、食べすぎると尿酸値が上がってしまいます」

 適量を食べる分には、大事には至らない。しかしながら短期間でドカ食いをしてしまうと、発症リスクが跳ね上がるのだ。

「尿酸値が高い状態が続いても、痛風の発作が起きないことは珍しくありません。むしろ危ないのは、尿酸値が大きく変動した時。行楽地でビールでも飲みながら山と海の幸を堪能する、贅沢三昧を数日繰り返してしまうと発症のリスクは上がります。これは、薬を飲んで尿酸値を下げる時も同じ。屋根に積もった雪を降ろすのに似ていて、一気にやってしまうとドサドサと雪が落ちて衝撃が大きいですが、少しずつなら静かですよね。薬で尿酸値を下げるにしても、徐々に下げていくものなんです」

 海藻や乳製品を食べる習慣がない人も尿酸値は高くなる。

「尿をアルカリ化してくれる食品です。治療では炭酸ナトリウムを処方して、尿のアルカリ化を促すこともあります。尿酸値が高い人は、尿が酸性に傾いている人が多いですからね」

 体内の酸性度を中和させることを意識するべし。

【痛風チェックシート⑩】

セルフチェックで5点以上は近くの医療機関へGO!

①エビやイカが大好物 1点
②毎日、お酒を飲む習慣がある 1点
③満腹になるまでドカ食いしないと気が済まない(腹八分目は嫌だ) 1点
④乳製品を食べる習慣がない 1点
⑤味噌汁に海藻類を入れない 1点
⑥水を飲む習慣がない 1点
⑦無酸素運動(ウエートトレーニングなど)だけをする習慣がある 1点
⑧健康診断で尿酸値が7以上 3点
⑨家族や親せきに痛風になった人がいる 3点
⑩なんだか足の関節が疼いて不快だ 7点

(つづく)

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