アフガニスタンで謎の感染症が蔓延中「サル痘との関連性を疑う声も」

 21年に米軍が撤退し、およそ武装勢力タリバンがおよそ20年ぶりに再び実権を掌握したアフガニスタン。その後も反タリバン勢力との事実上の内戦状態となっており、凶悪犯罪も多発するなど今も混乱が続いている。

 そんな中、現地では謎の感染症が猛威を振るっている。首都カブールの北に位置するパルヴァーン州では、下痢や高熱、全身の脱力感に加え、手足に激しい痛みが生じる原因不明の病気の患者が9月下旬に入って急増。現地の病院にはわずか数日の間に同様の症状を訴える患者が500人以上訪れ、少なくとも2名が亡くなっている。

 感染症と見られる病気について現時点では詳しいことが分かっていない。現地の保健当局が患者から採取した血液の分析を行っているが、原因の特定にはまだ時間がかかりそうだ。だが、この間にも感染者はさらに増えている可能性も考えられる。

「アフガニスタンは日本と違って医療体制が不十分。しかも、具合が悪いからすぐ医者で診てもらおうという人は少なく、病院に行かない人が多い。途上国に共通して言えることですが重症化のリスクが高く、手遅れになってしまったケースも少なくありません」(現地で取材経験のあるジャーナリスト)

 ちなみに衛生環境が不十分なアフガニスタンは、各種感染症の患者が数多く報告されている国のひとつ。腸チフスやA型肝炎、狂犬病などは有名で、16年と18年には致死率12%のクリミア・コンゴ出血熱が流行した。

 また、アフガニスタンで忘れてはならないのはポリオ。同国は24年現在、野生株のポリオウイルスの感染者が継続して報告されている世界で唯一の国だからだ。今回の原因不明の感染症とも手足の痛みなど一部症状が似ているとの指摘もある。

「他にもアフリカで感染者が急増し、WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出したエムポックス(サル痘)との関連性を疑う声もあります。ただ、原因不明としている以上、これらのウイルスとも一致しないのでしょう」(同)

 いずれにせよアフガニスタン以外の国に感染が広がれば一大事。致死率はそこまで高くないとも言われているが、感染者がこれ以上増えないことを祈りたい。

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