自動車業界も狙い目だ。国際優良銘柄のトヨタはいうまでもないが、すべての企業というわけではない。例えば現在、本田技研工業、日産自動車、三菱自動車はEV(電気自動車)分野で事業協力を検討中だが、軒並み、株価が下がっている。逆に言えば、協業で結果を残せば、株価上昇の機運は高まるわけだ。
「3社で特に企業としての体力があり、配当利回りも4%を超えて優秀なのがホンダです。株価は今年3月の段階で2000円弱だったのが、今や1600円を割り込んでいます」(証券アナリスト)
続いては携帯電話業界だ。注目すべきは楽天グループの株主優待。20年4月の本格参入から4年4カ月、新規顧客獲得のため、かなりお得な優待プランをつけているのだ。8月2日の終値は789円。優待が受けられる100株には、8万円弱が必要だが、
「去年の場合は、『30ギガバイトのデータ通信プラン1年分』ということで、ほぼ年間の電話料金が無料になりました。ただし、楽天の場合は歴史が浅いためか、株主優待の内容が安定していないため、今後の優待については注意が必要かもしれません」(同)
今年の株主優待は内容が「音声+データ通信30ギガバイト」となっており、一応、グレードアップしたものの、昨年12月時点で楽天モバイルを契約していた株主に限定してのサービス。今購入してすぐ優待を受けられるわけではない。来年度以降のサービスが不透明である以上、安易なキャリア乗り換えは危ういが、プラン月額3058円×12カ月で約3万6000円もの料金がタダになると思えば株主になって損のない内容だ。2年でほぼ元が取れよう。さらに、
「NTTは配当利回りが3.3%くらいですが、100株を5年保有すると、株主優待で『dポイント』が4500円分もらえます。5年でならすと利回り率は相当高い。100株以上の保有者は、家族で名義を分けるなどすれば、さらにお得です。この秋に株式が10分割されるソフトバンクは、配当金も株主優待も非常に魅力的。100株を1年以上保有すれば『PayPayポイント』が1000ポイント付与されます。配当利回りは約4.5%で、優待利回りと合わせれば、約10%にまで達します」(同)
最後に、佐藤氏が推奨する他銘柄も触れておこう。
「ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、クルーズ事業参入や『アナと雪の女王』などの世界観が楽しめるエリアをディズニーシーに巨額を投じて新設した影響で、今年の収益は右肩下がりです。ですが、この銘柄は長期的には安定株。これまでも下がった後にはほとんど回復している。市場が荒れてさらに安く買える今は購入のチャンスです。地方の銀行にも注目しています。特に京都フィナンシャルグループ(京都銀行)は任天堂や京セラなどの株を大量保有しており、こうした一流企業が株価を上げれば、必然的に京都銀行の株価も上がる。一時的に下がっても後々高騰する可能性があります」
「今後この業界が伸びそう」なんて専門知識を持たない一般人は有名企業の株の配当金や優待利回りを確認することから始めよう!
*週刊アサヒ芸能8月15・22号掲載