155円の腕時計も…NHKが中国ECサイト「Temu」「SHEIN」PRの波紋

 8月26日放送のNHKの朝のニュースで、中国企業が運営する「Temu」と「SHEIN」を革新的なECサイトとして紹介したことが、ネット上で大きな波紋を呼んでいる。

 この日、朝7時スタートの「NHK NEWS おはよう日本」では、「中国発の“越境EC(電子取引)”の急拡大の要因と課題」と題した特集を報道。155円の腕時計や79円のアクセサリーなど、激安価格で急拡大したTemuやSHEINを紹介した。さらに、訪問者数が4億6700万人に達しAmazonに次いで世界第2位になったTemuについて、安さと生産者と消費者を直接繋ぐビジネスモデルが成功していると指摘。同社の広報担当者のコメントを紹介するなど大絶賛した。

 一方、TemuやSHEINなど中国EC3社の144の製品から、基準値を大幅に上回る有害物質が検出された問題や、コピー商品が氾濫している件については、「商品を常に監視し、違反した生産者を排除するシステムを採用している」というTemuのコメントを紹介するだけにとどめた。

 この特集に納得がいかないのは視聴者だ。約7分間の放送時間のうち、ECサイトを持ち上げるパートがほとんどで、注意喚起は最後のわずか1分間程度。SNS上では「日本の公共放送が中国の民間企業のCMを行っていいのか?」「クレジット詐欺の温床になっているっていう話があるけど、そういうのはスルー?」などと疑問視する声が飛び交ったのである。流通ジャーナリストが語る。

「物価高の中、驚くべき低価格で特に若年層を中心に広がりを見せているTemuやSHEINですが、一方で日本のサイトではありえないレベルの不良品や、商品のサイズミスが頻発。EUは今年4月、有害な製品から消費者を保護する措置を含め、SHEINを規制対象とするIT企業に指定しています。NHKではTemuの広報担当者まで出演させて、同社を盛大にPRしましたが、むしろ問題点を指摘して、視聴者の疑問にもしっかり答える形にすれば、ここまで波紋は広がらなかったでしょうね」

 先日はNHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフが、沖縄県・尖閣諸島について「中国の領土である」と発言し、物議を醸したばかり。そんな“反日”ともとれる騒動があっただけに、視聴者は余計に敏感になっているのかもしれない。

(ケン高田)

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