【中国】北京女子が「ハグ20円」「キス200円」を売る危うい路上サービス

 金銭を払うことで異性と気軽にデートが楽しめる――。日本でも一時「レンタル彼女」「レンタル彼氏」などのサービスが話題になったことがあるが、お隣、中国では今、若い女性たちが路上でハグやキスなどを販売する「恋人代行サービス」が流行の兆しを見せているという。

 7月28日付けの香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、女性たちは広東や北京などの大都市の街角で「ハグ1元(約20円)、キス10元、映画鑑賞15元」といった価格表示板を掲げ、道行く男性たちからの要望に答えているのだとか。

「なかには『家政婦20元』『ギャラ飲み1時間当40元』などとの看板を掲示する女性も少なくないようで、SNSと違い、直接相手の顔を見て交渉できる安心感や気安さが受けているようです。記事によればこの女性たちは、関係を結ぶ時間やチャンスがない男性や、軽いノリを求める男性たちをターゲットにしているとしていますが、流行ればトラブルが増えるのも自然の理。SNS上には《顧客と女性両方の自発的行動なので問題がないのでは》《たくさんの男性と知り合えそうなので楽しそう》との声がある一方、やはり、《相手がどんな人かわからないからリスクは大きい》《結局は自分のみは自分で守るしかないよ》といった声が多いのも事実のようです」(中国ウォッチャー)

 かつて中国でもネット上で「レンタル花嫁」「レンタル彼女」などのサービスが人気となり、特に春節が近づくと多くの若者が実家の両親から結婚を催促されるため、「自分には彼女がいる」とレンタル彼女を連れて帰ったり、既成事実を作って結婚を逃れるため「レンタル花嫁」相手に身内だけで挙式してしまう、といったケースもあった。

「しかし近年は経済停滞に伴い、多くの若者たちが将来の見通しがたたない中で、『寝そべり族』を選ぶケースが増えてきた。周知のとおり『寝そべり族』は自分が楽しめる時間を過ごすために必要なだけの稼ぎを得る、という人たち。最低限しか働かないため収入が少なく、中には老人ホーム施設内での高齢者に同伴サービスを提供し、その見返りとして老人ホームでの宿泊権を得ているケースもある。中国では今、大きな社会問題になっているんです」(同)

 寝そべり族の中心は、物質的豊かさの中で育った「00後」(2000年代生まれ)世代で、彼らはブランド品よりコスパ最重視がモットー。シニア食堂で食事をしてシニア大学で学び、高齢者の旅行団に参加し、老人ホームを住まいにしても、何ら劣等感や閉塞感を感じないというのだ。

「当然、恋愛に関しても淡白で、街中でハグやキスなどを販売よる『恋人代行サービス』を利用したほうがコスパがいい。路上代行サービス流行の裏には、そんな若者たちの生活の変化が見て取れるということなんです」(同)

 そんな寝そべり族を大量に抱えた中国。台湾有事を叫ぶ習近平国家主席のため息が聞こえてきそうだ。

(灯倫太郎)

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