11月の米大統領選まで3カ月あまりとなる中、選挙戦では衝撃が続いている。7月中旬、米東部ペンシルベニア州バトラーで開かれていた共和党の政治集会でトランプ氏が銃撃を受け、それによってさらに劣勢に立たされていたバイデン氏が選挙戦からの撤退を表明、ハリス副大統領がトランプ氏と戦うことになった。
ハリス氏は父がジャマイカ系、母がインド系の移民だが、初のアジア系、女性の米国大統領を目指し臨戦態勢に入った。激戦州の一つである中西部ウィスコンシン州での選挙集会では、トランプに勝つと強い意気込みを見せている。
ロイター通信が7月22日・23日に実施した世論調査によると
いずれにせよ支持率では拮抗しており、現時点でどちらが勝つかは読めない。しかし、ハリス氏がバイデン氏のようにトランプと罵り合いを続けるならば、やっぱりな、という形でハリス氏への期待感や支持率は低下していくことだろう。ハリス氏には何か新しい、違う変化が求められている。
一方、トランプ氏が仮に負けることになると、米国の分断がいっそう進むだけでなく、最悪内戦に突入する恐れがある。4年前の大統領選ではトランプ氏とバイデン氏が戦いバイデン氏が勝利したが、21年1月、選挙結果を認めないトランプ支持者たちが米議会に乱入。治安部隊と衝突するなどして多数の死傷者が出る事件が発生しており、今回の大統領選ではその再来が極めて懸念される。
ハリス氏が大統領に就任しても、トランプ氏を神格化した支持者たちが偽大統領などと陰謀論を普及させる恐れもあり、分断した米国の内戦は決してフィクションではない。
(北島豊)