トランプ再選「絶対阻止」を狙う「サイレントキラー」(1)「11月サプライズ」は起きない

 顔面血まみれになり、右拳を突き上げファイト! 米時間(以下同)7月13日、米国東部ペンシルベニア州バトラーで演説中に銃撃を浴びるも致命傷を免れたドナルド・トランプ前大統領(78)。早くも〝勝利宣言〟の様相だが、その前途には思いもよらない障害が待ち受けている。

「奇跡の生還を果たした男を揶揄するのは、『恥ずべきことだ』という空気が民主党陣営にまで広がった印象です」

 こう米大統領選の“異変”を分析するのは、共和党とのパイプ役を持つ一般社団法人「JCU」の饗庭浩明代表理事だ。共和党員のトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)による暗殺未遂事件から1週間余、テロ行為に屈しない「リーダー像」を貫くトランプ氏を神格化する動きが止まらないという。饗庭氏が続ける。

「〝神の代理人〟として崇める共和党支持者は珍しくありません。というのも、共和党の支持母体には、複数の宗教団体が存在しており、そのベースの部分は信仰心が根強い。キリスト教右派の福音派の支持者を中心に、『救世主』として崇拝するムーブメントが加速中です」

 8発の銃弾をかい潜った神通力に刺激を受けたのは民衆だけではない。16日の共和党大会2日目には大統領候補を争ったニッキー・ヘイリー元国連大使(52)が登場。「私はドナルド・トランプを強く支持します」と〝援護射撃〟を見せていた。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。

「トランプ氏のラブコールによるサプライズです。3月に予備選挙の撤退を表明していますが、〝反トランプ〟の代表格だけに党大会には招待されていませんでした。同日に登壇したデサンティス・フロリダ州知事(45)もろとも『政権交代』の潮目と見て、支援する動きを見せたのでしょう。前回の大統領選を不服として議会襲撃を煽ったり、NATOを足蹴にしたりと『自国ファースト』に傾倒するトランプ氏にアレルギーを示す層は共和党内にも一定数残っています。その点も含めて、求心力を高めるのに成功しました」

 11月の米大統領選に向けて党内を完全掌握。敵陣営・民主党の青息吐息を横目にイケイケムードは増すばかり。

「オクトーバーサプライズでトランプ陣営が痛手を負う可能性も低いでしょう。すでにスキャンダルまみれでニュース性に欠けますからね。民主党は誰を擁立しても厳しい選挙になると思います」(山田氏)

 バイデン大統領が撤退表明して、当確ランプが点灯‥‥と言いたいところだが、再選を阻む「サイレントキラー」がワールドワイドに潜伏しているというのだ。

(つづく)

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