日本サッカー協会(JFA)が7月3日、パリ五輪に出場するサッカー男子U-23日本代表18人を発表したが、ここまでチームの主力として招集を続けていた松木玖生(FC東京)が落選するというサプライズがあった。
大岩剛監督は会見で松木が選外になった理由について聞かれると「コンディション上の問題ではない」とお茶を濁すようなコメントに終始。一方、代表を統括する山本昌邦ナショナルチーム・ダイレクター(ND)は「(松木には)移籍の可能性があります」と基本、極秘裏に行われる移籍交渉をあっさり表沙汰にした。
そもそも大岩監督は、久保建英を筆頭に海外で活躍する選手やA代表の遠藤航らのオーバーエイジ枠での招集を希望していたが、全滅。
「五輪の招集には所属クラブからの承認が必要。国際サッカー連盟(FIFA)は長年、五輪から撤退したがっているのですが、サッカーが世界的な人気競技とあって国際オリンピック委員会(IOC)から拝み倒されて残っている状況なんです。とはいえ欧州では五輪熱はそこまでなく、今回の招集にあたってJFAは大苦戦しました」(夕刊紙記者)
松木ばかりではない。今回、大岩監督が招集を希望した他選手にも「海外移籍があるんで」などと思い切りフラれ続けたわけだが、日の丸を背負うよりも欧州クラブへの移籍を優先するスタイルは今回が初めてのことで、「サッカー五輪代表」の価値が完全に地に落ちた格好。会見で大岩監督はほとんど笑顔がなく、「金メダルを奪う」との宣言も虚しく聞こえるばかりだった。
(小田龍司)