中国製電気自動車「BYD」が3車種目投入で「EV車戦争」がますます激化する!

 最近、都心部を中心に見かけるようになった「BYD」の電気自動車。

 BYDは中国深セン市に本社を置くメーカーで、2023年に日本市場でEV乗用車の発売を開始している。これまで2車種を販売していたが、6月25日に3車種目となるスポーツセダン「SEAL(シール)」を発表した。電気自動車といえば、アメリカの「テスラ」が有名だったが、そのテスラのセダン「モデル3」に真っ向から勝負を挑んだ形だ。

「シール」の価格は後輪駆動が528万円、四輪駆動が605万円と、テスラとほぼ同水準だが、1000台限定で33万円値引きの特別価格を設定したり、ドライブレコーダーや充電器の導入費を最大10万円サポートするキャンペーンも実施している。この他、自治体による補助金も用意されており、東京都の場合は最大85万円、住んでいる区によってはさらに20万円程度が補助されるため、思ったよりは安価に感じるかもしれない。

 もっとも、日本自動車販売協会連合会の発表によれば、2023年のEV(普通乗用車、軽自動車)の新車販売台数は約9万1000台で、これは新車販売台数の約2%にすぎない。そんな市場でBYDに勝機はあるのか。

「シールのインテリアを見ると、ダッシュパネルやドアパネルにバックスキン調の生地をあしらうなど、欧州プレミアムブランドと遜色ない高級感があります。また電気自動車にありがちな、電池の温度が上昇すると充電速度が落ちる問題にも対応している。さらに、ペダルの踏み間違え防止機能も搭載しています。年間販売数1万台を超える可能性は低くないでしょう」(モータージャーナリスト)

 BYDは2025年末までに日本全国で100店舗の代理店網を構築する目標を掲げており、実現すれば、全国10カ所のテスラよりも販売のハードルは低くなるだろう。

 日本のメーカーも次々と電気自動車をラインナップに加えて来ている。EV車の販売競争はますます激化しそうだ。

(ケン高田)

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