物価3倍のアメリカの最低賃金が「日本と大差なし」という馬鹿げたカラクリ

 6月27日の東京外国為替市場で円相場が続落。一時、1ドル=160円50銭台まで値下がりし、38年ぶりの安値を更新した。

 円の価値が下がり続ける一方で物価は高止まりしており、庶民の生活は苦しくなるばかり。厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は25日、賃金の下限に当たる最低賃金の改定目安額の議論をスタートさせた。現在の最低賃金である全国平均時給1004円からの増加を目指している。

 そんな中、SNS上では「アメリカの最低賃金」がトレンド入り。日本とアメリカの賃金と物価の違いについて、議論が巻き起こっている。米国と日本の最低賃金には思ったよりも大きな「差」はないというのだ。

 たしかに日本の最低賃金は1004円で、オーストラリアの2465円やドイツの2120円、イギリスの2108円に大きく差を付けられている。ところがそれらの国と同程度と見られていたアメリカは1156円で、日本よりもわずか152円高いだけ。Xでは「1時間働いてもマック食えないアメリカ」という声が上がっている。

「実はアメリカでは連邦が定めた最低賃金と州政府が定めた最低賃金の2種類があり、7.25ドルは連邦の数字。連邦最低賃金は2009年の引き上げ以降据え置かれてきましたが、州最低賃金は多くの州で継続的に引き上げられており、両者に差がある場合は高い方が適用されます。今年1月には22州が州最低賃金の引き上げを実施しており、これを加味すると全米の加重平均は11.28ドルに到達。現在の円相場では約1800円になる計算で、事実上、州最低賃金が家計を支える役割を担っています」(経済ジャーナリスト)

 もっとも、アメリカの物価は日本の約3倍であることを考えると、1800円は決して高いとはいえない。アメリカ人が日本で「安い!」とビッグマックをこぞって食べているのには、このような事情があったということか。

(ケン高田)

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