今夏の移籍市場でオランダのフローニンゲンからPSVへとステップアップを果たした日本代表MF堂安律だが、レギュラーポジションの確保には相当の覚悟が必要かもしれない。
キレのあるドリブルと思い切りの良いシュート、さらには味方を生かすことのできるラストパスの精度も高い堂安は、2018-2019シーズンのフローニンゲンで、ゴールにアシストと素晴らしい存在感を発揮。その活躍が認められ、今季開幕前にオランダNo.1のビッグクラブであるPSVへ迎えられたが、最前線の左右ウイングを主戦場とする堂安にとって、超えなければならないライバルのクオリティーはあまりにも高い。
「というのも今季のPSVが抱えるウイングアタッカーは“クラブ史上最高”とも言われているからです。とりわけFWステフェン・ベルフバインやFWブルマはスピードと技術を高いレベルで兼ね備える今が旬のアタッカーで、新参者の堂安が彼らを差し置いてスターティングイレブンに名を連ねるのは至難の業。オランダの放送局『NOS』で解説員を務めるイェンセン・エルソフ氏も“今季のPSVに堂安の居場所は存在しない”と前置きした上で、『堂安と争う他のアタッカーがシンプルに素晴らしすぎるのが現状だが、そのうち彼らには大きな買い手が目をつけるはず。そうなればポジションが空き、堂安が選択肢の上位に昇格するだろうね』と語り、もはやライバルの“移籍待ち”しか堂安出場の可能性がないことを示唆するほどです。もちろんシーズンフルで戦えば、ライバルも負傷や出場停止などで試合を欠場する機会はありますから、その時にどれだけ堂安がアピールできるかでしょうね」(スポーツライター)
なお、日本のファンからはこうした堂安の厳しい立場について「契約も長いし、今シーズンはできるだけアピールすれば良い。来季以降レギュラー取れれば問題はないかな」「解説者から評価されてないのはかえってプレッシャーがなく伸び伸びできて良い環境」「堂安ならやってくれると信じてる」など楽観的な意見が多く集まっており、将来的なレギュラー確保に期待を寄せている。
同じくオランダの名門であるアヤックスと並んで、PSVも毎夏のように主力選手をヨーロッパのメガクラブへ輩出し続けていため、現在好調をキープするアタッカー陣もいずれは他クラブのユニフォームを着用することになるだろうが、果たして堂安はそれまでの期間に自身の価値を証明することはできるだろうか。
若きサムライの挑戦を見守りたいところである。
(木村慎吾)