【シリーズ日本が危ない】関空に巣食う中国「闇ビジネス」(2)公安警察も動き出した

 区費の滞納が常態化すると、迷惑行為はさらにエスカレートする。

「近隣の人から、建物の解体現場に穴を掘って、そこで廃材を燃やしているとクレームが入った。本人を呼び出して法律上で駄目だと説明しても、『自分の土地だから何をしてもええでしょう』と食って掛かってきた。それで区費の話をすると『また納めます』と逃げていく」(鳴滝区長)

 将来的に駐車場として運用するつもりだったのだろう。民泊運営会社は間近の土地も購入した。ところがこの土地を、一時期、廃プラスチックのゴミ置き場としていた。たとえ仮設であろうと、産業廃棄物の保管基準に違反しているのは明白だ。

 なぜ強硬に宿泊事業の拡大を推し進めるのだろうか。旅行代理店の営業マンがこう教えてくれた。

「中国からLCC、いわゆる格安航空券で日本を訪れる観光客は、帰りのフライトが朝早いことに悩まされてきたんです。大阪市内からだと公共交通機関が動いてないので、関空最寄りのホテルで、送迎まで付いていれば非常に有り難いんです」

 さらにこんな裏事情も明かす。

「以前は最終電車で関空に来て、空港のロビーチェアで寝泊まりしていた観光客も多かったが、中国系やベトナム系の置き引きが横行。深夜になると、寝やすいようにと照明を薄暗くするので、そこにつけこむ窃盗団が出没する始末。誰でも出国間際に、そんな心配はしたくないでしょう」

 話を民泊に戻そう。不信感を抱いた理由は、区費の未納やズサンな解体作業だけではないようだ。

「施設を建てていたのは、消防法の見地から問題のある土地でした。袋小路なので消防車も入れない。それで周りの空き地を買って道路を拡張しようとした。でも、土地所有者が拒否すると、ある泉南市議が『中国人に売ってやってくれ』と仲裁に入ってきた。議員だったら普通は地域住民の側に立つべきなのに‥‥。それに、なぜか役所の職員からも『協力してやってくれ』と連絡がくる。何度も言うから、もう一度会うと今度は経営者が『これ20万円です』と封筒を渡してきた。『いらん、持って帰れ』と怒ったのですが、後で書類を整理していると勝手に封筒を挟んで入れていた。息子に頼んで返しましたわ」(鳴滝区長)

 騒動の末、昨年ついに「別館」は開業した。今年に入ると宿泊客が目につき、夜遅くまでテラスで騒ぐグループ客もいたそうだ。記者も実際、同所を訪問。フロントは不在で、掲げられた案内板から電話をすると、対応した女性は「今日、宿泊できます」と言う。

「いまだに消防設備も整っていないはずです。消防にも確認を取ると、泉南市の消防本部が何度も指導しているが全く言うことを聞かないと話していた。『消防法令適合通知書』も発行していないと言っている。なのに大阪府は昨年の12月20日に営業許可を出したというんです」(鳴滝区長)

 大阪府の「民泊に関するガイドライン」には、「大阪府では許可申請に際し、消防法令適合通知書の写しの提出」が必要とされている。その点を大阪府に問いただすと、「例外はない。写しは必要です」と回答があった。

「今年、『この中国人経営者のことを聞かせてくれ』と大阪の公安が突然訪ねて来た。何について探っているのか、教えてくれませんでした」(鳴滝区長)

 隣の都市、泉佐野市では中国系企業の「配送拠点」の建設計画が昨年2月に明らかになった。

「もともと建っていた住居や工場の解体工事が始まり、そこの作業員と会話をすると中国の方でした。近隣の方々は施主が元の所有者だという認識でしたが、実際は違ったんです」(樫井西町会関係者)

 蓋を開けてみると配送施設の他に、80人が寝泊まりできる宿舎の建設計画だった。同地区は国道26号線に隣接する住宅街で、道幅は3.7メートルほど。この狭い道路に4トントラックが行き交うとなると、住環境は一変するに違いない。

*週刊アサヒ10月13日号掲載 

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