大相撲夏場所で十両優勝を果たし、夏場所で再入幕する若隆景。関脇若元春の弟で、幕内優勝の経験もある実力派の力士だ。
「2年前の春場所に幕内初優勝、賜杯を抱いた。ところがその1年後、東関脇だった昨年春場所の取組中に右膝に大けがをしたんです。そのため、続く夏場所から3場所連続で全休。番付は幕下まで落ちてしまった。厳しいリハビリを経て、昨年九州場所で土俵に復帰しました」(相撲ライター)
若隆景が負ったケガは春場所13日目、小結琴ノ若(現・大関琴櫻)と対戦して寄り倒された際に負ったもの。右膝前十字靭帯断裂というから、相当の重傷である。ところが、軍配に物言いが付き、同体判定に。相撲ライターが続ける。
「右膝に重傷を負いながら取り直しの一番に臨んだ若隆景は一歩も引かずに、完勝したんです。意地と執念で勝ち取った一番でした」
若隆景の休場中に霧島、豊昇龍が大関に昇進しているが、昇進後はパッとしない。世が世なら、若隆景こそ大関に昇進し、横綱を窺う立場だったかもしれないのだ。
6月5日から始まった荒汐部屋の福島合宿でも若隆景は絶好調。名古屋場所は幕尻で、順当にいけば勝ち越し、10番以上の大勝も見込める。場合によっては、優勝争いにも絡んでくると見られている。
「来場所は霧島も尊富士も出場するでしょうし、非常に楽しみな場所となります。尊富士は確かに強い有望力士です。しかし、若隆景の執念にそれが通用するか。豊昇龍もこのところ二桁勝っていますが、本来の強さが戻った若隆景に勝てるか」(相撲ライター)
将来の横綱と期待される大の里。年内にも大関と噂されるが、そうすんなりとはいくまい。若隆景が加わったことで、上位陣の取り組みにも厚みができる。次は、どんな激闘が繰り広げられるかと、興味が尽きないのだ。
(蓮見茂)