大の里の奪い合いが始まる元稀勢の里との“ギクシャク”と部屋付き中村親方“独立”の火種

 大相撲夏場所で初優勝を果たした新小結大の里。初土俵から7場所での優勝は大相撲史上最速記録。新小結の優勝も1957年5月場所の安念山以来、67年ぶりの快挙となり、日本相撲協会の八角理事長は「相撲内容が立派。ラッキーで勝ったような優勝ではない。これから先(上の番付)がある。今年中に大関?1年後にはもっと行っているかもしれない」と大絶賛していた。

 日体大時代の大の里を巡っては「数十年に1人の逸材」と多くの部屋が参戦し争奪戦が繰り広げられた。

「入門が有力視されていた部屋の一つに、宮城野部屋がありました。宮城野親方(元横綱白鵬)が現役時代に集めた豊富な資金力をバックに多くの有力アマチュア力士を獲得していましたが、大の里が選んだのは二所ノ関部屋(元横綱稀勢の里)でした」(夕刊紙記者)

 その大きな理由は、二所ノ関部屋の部屋付き親方に日体大相撲部出身の中村親方(元関脇嘉風)がいたことだった。中村親方はもともと尾車部屋に所属していたが、同部屋が閉鎖になった際に日体大相撲部出身の力士を連れて二所ノ関部屋に移籍した。しかし…。

「中村親方は今年9月に独立することが決まっている。力士には移籍の自由がなく、独立する親方が指名する形であれば移籍は可能。大の里は今回の初優勝で二所ノ関部屋の稼ぎ頭になり、年内の大関は確実視というような見出しも新聞では躍るでしょうが、一方で二所ノ関親方と中村親方の間で“奪い合い”になりかねない状況なんです」(相撲担当記者)

 大の里は場所前、20歳未満の幕下以下力士との飲酒が発覚し二所ノ関親方とともに厳重注意を受けているが、「あれからどうも師弟関係がギクシャクしている」(相撲担当記者)との話も。今後は大学時代の先輩、中村親方の独立により、土俵外でもその動向が注目されるのである。

(小田龍司)

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