5月15日~21日の1週間にAsageiBIZで配信し、大反響を呼んだ記事のBEST8を紹介するこの企画。第3位は、土曜夜のニュース番組でおなじみとなった脚本家の三谷幸喜氏についての記事。スタジオを明るくする軽妙なコメントは番組の緩衝材になっているが、そのスタイルには賛否あるようで‥‥。(初公開は5月20日)
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「情報番組やってるならそのくらいは知っておいてほしい」「わざわざそんな質問しないで」などと視聴者から嘆き節が寄せられたのは、5月18日放送のTBS系情報番組「新・情報7days ニュースキャスター」。総合司会を務める脚本家・三谷幸喜氏の素朴な問いを受けてのものだった。
番組の前半で取り上げたのは「実質賃金24カ月連続マイナス」のニュース。スタジオでは、メリルリンチなどの投資銀行で要職を務めたエコノミストのイェスパー・コール氏が流暢な日本語で解説を務めた。
イェスパー氏は上場企業の内部留保に着目し、GDPに対する割合では、日本が各段に高いと指摘。番組で示したグラフを見ると、フランスの約2倍、韓国やアメリカの約3倍と、きわめて高い水準にあることがわかる。
イェスパー氏は、「内部留保って何なのでしょうか? ある意味ではバッファーなんですね」と述べて、「タンス預金」に例えた。さらに日本の企業がお金を貯め込む理由について、「日本銀行への信頼感が低い。何かがあったら…。たとえば地震があったら、困ったときに銀行がお金を貸してくれるかっていうことに対して日本の経営者はほとんど『貸してくれないよ』っていう心配があるので、だからバッファーを作ると。だからタンス預金、内部留保が…」と説明したところで、三谷氏が割り込み「バッファーって何ですか?」と質問をぶつける。
イェスパー氏は「バッファーっていうのは、やはりその企業としては何とか現金を持つ必要があるんですよ。やりたい時、困ったところには『現金がありますよ』。これが内部留保なんです。ある意味では企業の武器」と説明し、国民所得の100%以上にのぼる点については「クエスチョンマークなんです」と疑問を呈した。
「バッファーとは経済用語で“緩衝”や“ゆとり”といったニュアンスでよく使われます。ただ、やはり一般の視聴者にはなじみのない言葉かもしれません。イェスパー氏が2回『バッファー』を口にしたところで、三谷さんがようやく『何ですか?』と質問したのですが、ネット上では『よく聞いてくれた』『バッファ? 私も知らんかった』『ちゃんと質問してくれる三谷さん最高』と称賛コメントが寄せられていました。ネット上で三谷さんに苦言を発していたのはよほどの経済通だと見受けられます」(メディア誌ライター)
三谷氏にはこれからも“視聴者目線”で専門家に質問をぶつけてほしい。