埼玉県深谷市が、食品ロスや生ゴミ問題の解決に向けた実証実験を開始した。野菜を皮ごと食べるための専用水「ベジセーフ」を市民100人に無料配付するという。
「#栄養まるごとプロジェクト」と題した計画は、「野菜を皮ごと食べる文化をつくる」を目的に、深谷市が農業課題解決のために開催するコンテスト「DEEP VALLEY Agritech Award 2019」でファイナリスト賞を受賞したクリーニング会社「land link(ランドリンク)」を中心に2021年3月に発足。普段捨てている野菜や果物の皮にはファイトケミカルという栄養成分が豊富に含まれているとして、「皮ごと食べることによって慢性的な栄養不足問題及び食品ロス問題の解決を目指す」をテーマに掲げている。
深谷市では市内の小学校でベジセーフを試験導入し、皮ごと使った野菜メニューを提供しているが、ここにきてSNS上では「根拠がない」「ただの水ではないか」などと疑念の声が上がり、炎上状態となっているのだ。
「ベジセーフを巡っては、一部農家から『野菜の汚れは水洗いで十分とれる』『慣行栽培批判だ』という意見があり、また『99.9%の純水と0.1%のカリウムだけ』という成分にしては価格が高いことも疑問視されています。販売会社の代表は、農家の疑問に対して『弊社は慣行栽培を批判してませんし、危険を煽ってません。ただ慣行栽培の皮ごと食べる文化を作りたいだけです』と答えていますが、ミニトマトを洗浄した際に検出された農薬について、トマト農家が詳細の説明を求めた質問には回答していません。小学校の給食にも試験導入されているのですから、まずはきちんと説明するべきでしょうね」(食品ジャーナリスト)
「ベジセーフ」には、こうした懐疑的な声がある一方で、コストコでまとめ買いしたりと愛用者も多い。どうやらその効果や導入妥当性については、これからも議論が続きそうだ。
(ケン高田)