22年3月期決算をみると、牛丼御3家の中でも「すき家」のゼンショーホールディングスは好調、吉野家は回復基調、
「同社が3月25日に発表したところによると、コーヒーのフェアトレード専門ブランドを立ち上げて粉とドリップのコーヒーを販売するとのことです」(経済ジャーナリスト)
そもそも「フェアトレード」とはどういったものか。
コーヒーが育つのは「コーヒーベルト」と言われる地帯で、赤道直下周辺の環境が必要。だから有名な産地としては、エチオピア、タンザニアといったアフリカ諸国、コロンビア、ブラジル、グアテマラといった中南米の国となる。ところが国名を見ても、こういった地帯はいわゆる発展途上の国々が多い。そこで現地の人々による細々とした生産が主となるのだが、先進国の消費者のところに届くまでには中間業者が介在するので、現地の生産者に入る実入りは少ない。加えてこのところは他の資源や食料と同じでコーヒー価格は高騰の傾向にあるなど、コーヒーはその時々の相場にかなり左右されて生産者の収入は安定しない。そこで、収入を安定させるために事前に決められた値段で仕入れて、生産者が安心して生産に従事できるようにするというのがフェアトレードだ。そしてゼンショーではこの取り組みを07年から行ってきたのだという。
「ゼンショーグループでは企業理念に『世界から飢餓と貧困を撲滅する』というものを掲げているそうなんです。そしてその実践として、07年からインドネシアの下の方、オーストラリアの真上辺りに位置する小さな島国の東ティモールを相手にフェアトレードを行ってきた。そのコーヒーは今まではグループ内のすき家やココス、はま寿司などで提供されていましたが、15年を経た節目として、3月28日からグループ外の首都圏のスーパーやネットを通じての小売りも始めたのだそうです」(同)
そこでHPを見てみると、フェアトレードは東ティモールのみに留まらずに拡大していて、取り扱う6商品にはペルーやニカラグア、コンゴのコーヒーも含まれている。
一方、コーヒー市場を見ると、「おウチ時間の充実」といった背景もあって拡大傾向にある。もしかしたら「すき家のコーヒー」というのが1つの定番ブランドとして広く知られる日も遠くないのかもしれない。
(猫間滋)