豊胸手術で胸がでこぼこに…中国で大ブーム「美容整形」の闇

 かねてから美容整形人気が高く、かつて美容整形手術を受けた女性ばかりを集めた限定美人コンテストを大々的に開催したことが話題になった中国で、とんでもない事件が勃発した。

 中国メディア「極目新聞」が4月15日、コラーゲンを注入し豊胸手術を受けた女性が、コウモリやラクダ、チンパンジーなどの動物性成分を注入していたことが判明したと報じたのである。中国の美容整形事情に詳しいライターが語る。

「中国では近年、若者たちの間で美容整形手術が大ブームで、香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』によれば、2019年時点で美容整形手術を受けた人の数が年間約2000万人を突破。そのうち3分の2近くが30歳未満で、しかも5人に1人が21歳未満だと報じています。21歳未満ということは、大学在学中、あるいは高校を卒業してすぐということになりますが、その多くが就職活動や恋愛を有利にしたいから答えているという。ただ、近年の大ブームに乗って無免許で施術を行う違法クリニックも横行、中国国務院でも注意喚起しているのですが、トラブルが後を絶たないというのが現状です」

 とはいえ、さすがに豊胸手術に用いるコラーゲンにコウモリなどの動物成分を混ぜ、人間の体内に注入するなどという話は聞いたことがない。「極目新聞」によれば、女性は27歳の妊娠7カ月目に入った妊婦。2年前に友人の紹介で北京にある整形外科で手術を受けたものの、術後、時間が経過するとともに胸がでこぼこになりはじめ、痛みが伴うようになったのだという。

「コラーゲンは脊椎動物の真皮や骨、軟骨などを構成するタンパク質の一つで、人間の場合、体内に存在している総量は全タンパク質の約30%を占めるといわれていますが、手術で用いる場合、それなりの値段がする。そのため低価格をウリにしている美容整形医が偽のコラーゲンやシリコンを利用する場合が多いんです。この病院が謳っていた『CTR自家コラーゲン再生技術』は、本人の体内から抽出したコラーゲンを切開手術を行わず注射1本で胸に注入するというもので、報道によれば手術時間はわずか20分。ただ、手術費は54万元、つまり日本円で約1153万とかなり高額だったようです」(同)

 手術は時間通り終了。女性の胸は望み通り2カップ以上大きくなったそうだが、程なくして違和感を覚え整形外科を受診するも「正常だ」として取り合ってもらえなかったという。

 その後、健康診断で行ったマンモグラフィで異常が見られたことから、2か所の大学病院で検査を受けると、「自家コラーゲン」と謳っていた物は人為的な詰め物で、しかも物質の成分検査により、それがコウモリやラクダ、チンパンジーなどの動物性コラーゲンだったことが判明したというのである。

「注入されたコラーゲンは体内に一部吸収され、残りも変形していたため、一度すべてを取り出し、再度、胸再建手術が行われたのだとか。現在中国には正規の美容整形クリニックに対し、その6倍にあたる6万軒近い無資格クリニックがあるという報道もありますからね。今後ますますトラブルが増えることは間違いないでしょうね」(同)

 オイシイ話には必ず裏があるが、それにしても、コウモリとラクダのコラーゲンとは…。いやはや、空いた口が塞がらないばかりである。

(灯倫太郎)

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