韓国NO.1バーガーチェーンが日本初上陸も「熱しやすく冷めやすい」美食国家の壁

 韓国のハンバーガーチェーン「MOM’S TOUCH(マムズタッチ)」が4月16日、渋谷・公園通りに1号店をオープンし、日本初出店を果たす。韓国では店舗数1位を誇る超人気ブランドだが、果たして日本でも覇権を争うことができるのだろうか?

「マムズタッチは2004年に設立されたチキンバーガーをメインとしたハンバーガーチェーンで、『ロッテリア』や『マクドナルド』など強力なライバルとしのぎを削り、後発ながら今年2月時点で韓国国内に1421店舗と、NO.1ブランドに急成長しています。同チェーンはオーダーを受けてからひとつずつ店内キッチンで調理する手作りにこだわっていて、その上で商品は財布に優しい価格帯に設定されていることから、“神コスパバーガー”として韓国で旋風を巻き起こしているのです」(韓国事情に詳しいライター)

 21年に韓国で店舗数1位となると本格的な海外展開に着手し、現在はアメリカやタイなどにも出店している。日本には昨年10月にポップアップストアとして初上陸し、3週間で約3万3000人が来場するなど大盛況。正式出店を望む声が多数寄せられたことから渋谷でのオープンを決めたという。キム・ドンジョン社長は日本は美食国家であり、海外進出の重要な一歩と位置づけているが…。

「日本ではコロナ禍にテイクアウト需要の高まりからハンバーガー人気が急騰して、『焼き肉ライク』が手掛ける『ブルータスバーガー』や『ロイヤルホスト』の『ラッキーロッキーチキン』、『鳥貴族』の『トリキバーガー』など新規参入が相次ぎました。しかし、競争の激化もあって21年頃には早くもハンバーガー店の倒産が急増。昨年11月には37年の歴史を持つ『ベッカーズ』も幕を下ろしたぐらいですから、この業態で新たに日本で勝負するというのはかなり険しい道のりだと考えた方がいいでしょう。それに、昨年5月には中国で『ケンタッキーフライドチキン』を凌ぐNO.1チキンブランド『正新鶏排(ジェンシンジーパイ)』が日本初上陸を果たしていますが、その後は店舗を拡大させられずにいますからね。アジア系の飲食チェーンがのし上がっていくのも簡単ではありません」(フードジャーナリスト)

 韓流ブームも落ち着きつつある今、マムズタッチは日本で版図を広げられるだろうか。

(小林洋三)

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