3月26日、ウクライナのゼレンスキー大統領がXで歓喜の声を上げた。
「ありがとう、みんな!ありがとう、チーム!国全体に大きな感動を与えてくれた。重要な勝利、そしてユーロ出場だ」
この日、サッカーのウクライナ代表は、今年の6~7月にドイツで行われるヨーロッパサッカーのナンバー1国を決める欧州選手権(UEFA EURO 2024)予選プレーオフ決勝で、アイスランドを2-1で下し本戦出場を果たしたからだ。
「ウクライナは予選を戦っていたグループCでは、22年カタールW杯ベスト8のイングランドが余裕の予選突破で、次の1枠をイタリアと争っていました。前回のユーロ20の優勝国であるそのイタリアと最後まで5分と5分の勝敗で、直接対決の結果、イタリアが本戦2位通過で、ウクライナはプレーオフに回った。ロシアによる侵攻以来、ウクライナはホームゲームを中立地で開催するというハンデを背負っていましたから、二重三重の快挙と言えるでしょう」(スポーツライター)
ウクライナ国民ならずとも、ロシア侵攻を好ましく思わない人々全てにもたらされた朗報なのだが、では一方のロシアはどうかと言えば、すでに22年9月に欧州サッカー連盟(UEFA)によって大会参加を弾かれている。ロシアと同盟関係にあるベラルーシについては参加は認められたもののホームゲームは剥奪されていて、予選で敗退している。
ところで、ウクライナが本戦出場を決めた26日には、プレーオフ3枠の決勝が同時開催されたのだが、他の2枠はポーランドとジョージアとなった。奇しくもロシアが対NATOで緩衝地帯にしたいと考えているウクライナと、その周辺国が出場を勝ち取った形だ。
「ポーランドはベラルーシとロシアの飛び地のカリーニングラードに挟まれ、NATOの中でも対ロシアの強硬派。2008年にロシアと軍事衝突したジョージアは隣の南オセチアが親ロシア派で、ウクライナと似た状況にあります。プレーオフで出場を決めた国は、いずれもロシアと極めてセンシティブな関係にある国ということです」(全国紙記者)
となると、そもそも蚊帳の外に置かれているロシアのプーチン大統領にしてみれば、プレーオフ決勝の結果を苦々しく見ているに違いなく、ましてや本戦でこれらの国が活躍しようものなら、極めて面白くないに違いない。