リーディングのトップを快走するルメール騎手だが、今年はまだ重賞勝ちがなく、現在14連敗中だ。3月9日(土)の中山牝馬ステークス(GⅢ)でフィアスプライド、10日(日)の金鯱賞(GⅡ)でドゥレッツァという1番人気馬に騎乗しながら、それぞれ9着、2着と敗れてしまった。これまで重賞で7度の1番人気になりながら、2着4回、3着2回、着外1回という成績。
この結果を見て思い出されるのは、一昨年の春シーズン。1月9日のシンザン記念(GⅢ)で単勝1.8倍のラスールで敗れると、そこから連敗が22回続く。ようやく重賞を勝てたのは、5月22日・オークス(GⅠ)でのスターズオンアースだった。結局、この年は年間109勝で、重賞も5勝だけ。リーディングも5位という不本意な結果に終わった。
さすがにそんなことにはならないと思うが、気掛かりだ。関係者はどう思っているのだろうか。
「重賞勝ちはないけど、勝利数、連対率とも悪くはない。今のままでいけば、昨年ぐらいの勝利数をマークするのは確実。持ち駒も揃っているから、すぐに重賞も勝てるでしょう。本人に焦りのようなものは見られないし、周りも心配していない。春のGⅠの鍵を握るのは、最終的にはルメールが騎乗する馬だと見ている」(トラックマンA氏)
ルメールは今週、16日(土)・17日(日)ともに中山で騎乗する。土曜のフラワーカップ(GⅢ、芝1800㍍)では、新潟・芝1800㍍の新馬で2歳コースレコード勝ちしたカンティアーモに、日曜のスプリングステークス(GⅡ、芝1800㍍)では2戦2勝のシックスペンスに騎乗し、重賞連敗ストップに挑む。
カンティアーモは前走・デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)ではマーカンドが騎乗し6着に終わったが、直線で脚は見せていた。決して悲観する内容ではない。今回は牝馬同士の戦い、新馬勝ちした距離と、条件も好転する。3頭併せの追い切りで馬なりのまま併入したように、デキも万全。まず好勝負必至だろう。
シックスペンスは新馬、ひいらぎ賞ともに好位から抜け出して勝ったように、レースセンスの良さが光る。操縦性が良く、キャリアの浅さを感じさせない。中山はこれまで2戦2勝と相性も抜群。初めての1800㍍になるが、折り合いが付くので心配ないだろう。母フィンレイズラッキーチャームは米国GⅠ馬で、血統的な魅力も十分。ここを勝って、本番に繋げたい。
(競馬ライター・兜志郎)