福永祐一新調教師が、初陣で武豊騎手とコンビを組むことが正式に決まった。3月9日(土)の阪神メイン・コーラルステークス(4歳上オープン、ダート1400m)に、所属馬レオノーレ(牝5)が抽選をクリアし出走することになったのだ。
レオノーレは福永調教師自身が無敗3冠を達成したコントレイルと同じ、ノースヒルズ生産馬。オープン入り後の近2走は4着、10着だが、ダート1400mの持ち時計1分21秒9は出走馬中1番速い。53キロのハンデも恵まれている。レジェンドが騎乗するのでかなり人気を集めそうな中、ワンチャンスあっても不思議ではない。
そして、その翌日の阪神で行われるオークランドサラブレッドRT(4歳上3勝クラス、ダート2000m)にも、所属馬マルブツプライド(牡5)が岩田望来を乗せて出走する。
福永調教師本人はスタートするにあたり、「スタッフと共に丁寧な馬の管理を心がけて、いい状態で競馬場に持っていけるようにしたいと思っています」と語っているが、周囲はどう見ているのだろうか。
「成功するでしょうね。引退してからはオーナーや牧場と連絡を密に取って、関係を強化。日本のセリだけでなく、サラトガやキーンランドといった海外のセリにも顔を出していた。今は引退した調教師から譲り受けた馬ばかりだけど、もうすぐそうしたところで手に入れた2歳馬も入ってくると聞いています。その中にはかなりの良血馬もいて、期待は大きい」(競馬関係者)
その良血馬には、廣崎利洋氏がセレクトセールで3億1900万円で落札したキタサンブラック産駒のアスクセクシーモア(牡2)や、藤田晋氏が8800万円で落札したキタサンブラック産駒のアルテリテの2022(牝2)がいる。2頭ともまだデビューの時期は決まってはいないが、その登場がいまから楽しみだ。
問題があるとすれば、馬房数に制限があること。新規開業厩舎は基本的に12~14馬房からスタートすることになっており、規定で厩舎は馬房数の2.5倍までしか預けることができない。つまり、福永祐一厩舎は最大でも35頭からのスタートになる見込み。ここから始めて、成績や年数によって馬房数が増減していく。
というわけで、馬主が“馬を預けてほしい”と言っても、そう簡単にはいかない。おそらく、福永氏も相当な数の依頼を断っているであろうことは容易に想像できる。嬉しい悲鳴を上げているに違いない。
(競馬ライター・兜志郎)