3月10日から始まった大相撲春場所だが、弟子の北青鵬による暴行騒動の渦中にいる宮城野親方(元横綱白鵬)は、意外にも笑顔の日々を過ごしている。
総勢100人を超える親方衆は相撲協会から月給が支給される身分のため、場所中はそれぞれ担当部署につき円滑に運営する仕事が重要な業務となる。宮城野親方は、年寄への2階級降格と減俸処分を受ける前と変わらず、「場内警備」と「記者クラブ担当」の部署についた。
「中には館内の売店の売り子とか、屋外の入場門でのチケットのモギリなどにつく親方衆もいます。宮城野親方は協会執行部から厳罰を受けた直後の本場所とあって、それこそ売り子でもなるのでは、と言われていました」(相撲他担当記者)
場内警備といっても名ばかりで、表に出るわけでもない。また記者クラブ担当は歴代元横綱や名のある役力士がつくことが多いが、冷え込む日もまだ多い春場所、宮城野親方は空調の効いた館内に常勤している。
ちなみに、相撲協会の理事でありながら、執行部と対立して多くの処分を受けた貴乃花親方は当時、大マスコミ嫌いということもあり記者クラブ担当を“拒否”したこともある。
「本場所には常に記者クラブの部屋が用意され、担当の親方以外はそこにはやってきません。八角理事長ら協会執行部にも本場所では別の部屋が用意され、この部屋に入ってくることは100%ないと言っていい。馴染みの記者もいるし、宮城野親方にとって本場所中は居心地のいい仕事場となっています」(夕刊紙記者)
春場所後は“部屋の取り潰し”が決定的な宮城野親方だが、執行部の睨みも届かない記者クラブでの業務は、今後の身の振り方を考えるにはもってこいの環境と言える。見せる「笑顔」は、そんな今だけの余裕を意味するのか、それとも何か策があってのものなのか。
(小田龍司)