イーロン・マスク氏がOpenAI提訴で鮮明化する「VSマイクロソフト」場外乱闘

 あの何かにつけてお騒がせなイーロン・マスク氏が、今度はChatGPTを運営するOpenAIと同社CEOのサム・アルトマン氏を訴えたのだという。

「現地時間3月1日にロイター通信が伝えたところによると、サンフランシスコの裁判所に訴訟を提起した模様です。OpenAIは15年に非営利団体として設立され、マスクも出資者の1人だったことは知られています。ところが18年に営利追求のあり方を巡って、マスクとアルトマンとで意見が対立し、マスクは全株を手放して袂を分かったとされています。そしてOpenAIがChatGPTをリリースして以来、AIではOpenAIがこの分野を主導するようになって、またその問題が再燃。今回の提訴も、『人類のため』であるAI開発で金儲けに走っているのがよくないといって訴えたとのことです」(経済ジャーナリスト)

 そこで現地では、例えばウォール・ストリート・ジャーナルがそうであるように、「マイクロソフトとマスク氏の対立鮮明」という、IT業界全体を巡る大きな対立構図としてこれを報じている。というのも、マイクロソフトは19年以降、OpenAIに約130億ドル(約1兆9500億円)を出資して、49%の株式を保有しているからだ。

「つまりマスク陣営としては(なるものがあるとして)、今後もGPT-4などOpenAIが開発するAIを、マイクロソフトが独占、もしくは外部に対して高いライセンスフィーを得る形で利用することになれば、確かに業界内での競争と利益の分配を差配する立場に君臨することになり、『人類のため』ではなくなることになる。つまりはAIの覇権を巡る話として、マスクとしては大きく楔を打ち込んでおきたいという見方というわけです」(同)

 するとOpenAIは、社内文書で「断固として異議を唱える」と反発。マスクが同社を離れたことによる後悔から今回の行動に出たのだろうとの見方を示した。

 マスクはChatGPTの爆発的ヒットの当初から、「人類のため」を盾にこの動きを牽制してきた経緯があり、AI開発そのものでない場外乱闘は今後さらに活発化しそうだ。

ビジネス