同じく松本ファミリーでは、マルチに活躍するピン芸人のXが、テレビ局のプロデューサーから女性をアテンドされていた。
ノンフィクション作家の酒井あゆみ氏がこう明かす。
「実際にアテンドしていたあるプロダクションの社長に聞いたのですが、00年代前半の頃に、『○月○日に4、5人用意してくれ』と連絡が入るんです。条件もあって、行為ができる女性で、肩書にもこだわっていて、教師や看護師、OLなど普段は本業の仕事をしながら、こっそりビデオ出演している企画女優の方が喜ばれました。それ以外にも、下着姿で飲める女性、SMが好きな女性など、オーダーが変更されます」
ちなみに、プロデューサーの配慮で、Xには艶系女優であることは事前に知らされていなかった。
女性たちは六本木や赤坂の高級ホテルのスイートに呼ばれ、Xを含めて数人の男と乱行プレイさながらにまぐわった。当時の事情を知る別の人物もこう振り返る。
「基本的にXはわがままなマグロで、女性に指示するばかり。しかも毎回、女性にもアテンドする側にもノーギャラで、不満が噴出して次第に集まらなくなりましたね」
性上納システムはもはや“伝統芸”なのか。ただ、それは芸能人に限ったことではなく、人気番組を手がけるテレビ局のスタッフもうまい汁を吸っていた。
「現役バリバリで、バラエティー番組のヒットメーカーで知られる某プロデューサーは、下半身が元気なことで有名です。女性タレントをブッキングしてもらうため、“性接待”を受けているのは知られた話。人気番組なのに知名度の低いタレントが急にひな壇に座っていると、接待が成功したのかと、勘ぐりたくなりますよ」(民放テレビマン)
芸人でもプロデューサーでも、権力者へのご機嫌取りは当たり前だったようだが、時代とともに「形」は変わってきていた。
芸能評論家の平田昇二氏が内情を説明する。
「芸能事務所によっては、所属タレントに枕営業をさせていた話はよく聞くし、今も“肉弾接待”は行われています。ただ、昔と違って、パパ活をしている女性など、お金目当てで体を売る女性にアルバイト名目で声をかけ、接待相手には『タレントの卵です』と紹介してあてがっています。その方が、所属タレントから後々『枕営業をさせられた』と暴露されるケースも防げるし、性加害のトラブル対策にもつながるのだとか」
「暴露」といえば、一連の松本を巡る性加害疑惑を発端に、お笑い業界“内部”でも動きがあった。
「コンビで活動中の女性芸人が、先輩芸人から日常的に胸を揉みしだかれ、パンツの中に手をツッコまれています。相手側はジョークかもしれませんが、本気で告発するか検討している」(放送作家)
猥褻行為がボケだった、なんて一般社会では通用しないことに、一刻も早く気づくべきだろう。
(つづく)
「週刊アサヒ芸能」2月15・22日号掲載