今年に入って絶好調の日本株。日経平均の4万円到達すら囁かれているが、その一方で中国株が下落続きだ。
中国株の代表的指数である「上海総合」や、上海と深セン上場の有力企業300社で構成される「CSI300」、香港市場の「香港ハンセン株価」は、いずれも今年は連続安だ。CSI300は5年ぶり、香港ハンセンは22年11月以来の安値をつけるなど、総崩れの様相を呈している。
「こうした事態に対し、市場当局は、中国最大の証券会社に『窓口指導』をして、株価下落で儲かる空売りを規制しています。また、上海取引所は、日本のETF(日経平均連動型投資信託)の売買を停止するなど、介入を試みていますが、効果は見られません」(経済ジャーナリスト)
中国株低迷の理由として、コロナ後に一向に上向かない景気があげられる。さらに、不動産業で膨らんだ債務問題や、地政学的リスクの高まりなども遠因とされているが、もう1つ、興味深い原因が指摘されているという。それは「中国的リスク」。いったいどういうことか。
「中国は昨年、唐突にIT、教育、不動産の規制を強化して業界が大混乱に陥るということがありました。つい最近も、ゲーム業界に、かつて日本でも問題になった『ガチャ』等のネットゲームの規制に乗り出した。ところが、この荒療治に、代表的な中国株のテンセントやネットイース、ビリビリなどの時価総額が10兆円単位で吹っ飛ぶなどハレーションがあまりに大き過ぎました。政治によって経済が翻弄され、資本主義が徹底していないことがあらためて浮き彫りになってしまった。経済が絶好調の時はこうした中国的リスクも想定内にできましたが、今や許容の範囲を超えてしまったのです」(前出・ジャーナリスト)
とはいえ、中国の失速は世界に多大な影響を及ぼす。いきなりの総崩れだけは回避して欲しいものだ。
(猫間滋)