日本代表選手たちが勝負メシに希望したのは、「おはぎ」。腹持ちがいいので試合開始の約4時間前に食べて本番に挑んでいた。
「7月に宮崎合宿をしている日本代表に、【16】大会のPRキャプテンを務める舘ひろし(69)が、石原軍団御用達のおはぎ500個を差し入れしたこともありました」(スポーツ紙記者)
世界三大スポーツイベントとも呼ばれ、【17】世界で約40億人が視聴するラグビーW杯。その優勝賞金は、まさかの「0円」。アマチュア時代の精神が受け継がれ、出場することが最大の栄誉とされているのだ。
「報奨金は各国で決められ、日本の場合はラグビー協会から選手やスタッフに対して、優勝は1人500万円、4強で300万円、8強で100万円に設定されています」(専門誌記者)
もちろん選手たちは金のために戦っているわけではないが、史上初のベスト8でも100万円は安すぎる気もするが‥‥。
試合中は命の危険を伴う過酷な状況が待っているだけに、試合前のロッカーでは、気持ちを奮い立たせる「儀式」があるという。伊藤氏はこう話す。
「それぞれの選手によって違いますが、神戸製鋼時代のある先輩は、泣きながら壁にガンガン頭をぶつけていました。それでも足りなかったのか、後輩の選手を呼んで、『気合い入ってんのか!』と言いながら頭突きをかまし、その後輩は意識が遠のいて試合に出られなくなった」
激しくぶつかり合うラグビーでは、「脳震盪で倒れたら即、やかんを」─そんな光景を思い浮かべる人も少なくないのではないだろうか。そんな定番ともいえるシーンも、今では見られなくなったという。
「僕らの頃は試合中に倒れたら、意識回復するまでやかんの水を顔にかけることはよくありました。そのまま試合に戻っていたので、その光景を見た医療関係者が驚き、『売ってほしい』と電話をかけてきたことも。【18】ただの水なのに、魔法の水に見えたんでしょうね。今は選手の安全面がいちばん大事なので、脳震盪を起こしたらすぐに検査して、しばらく試合にも出場できないように配慮されています」(伊藤氏)
ラグビーのルールで目からウロコなのは、手を使うスポーツでも、【19】実は「ハンドの反則」があった。スクラムを組んでいる状況や、ラックと呼ばれるタックルされた選手が地面に置いたボールを奪い合う状況で、手を使ってかき出してはいけないのだ。
伊藤氏によれば、
「【20】ラグビーはルールが難しくて敬遠されることもありますが、全て覚える必要はないし、僕だって全部は知りません(笑)。基本的に陣取りゲームなので、常にボールの争奪戦が行われています。攻撃時にボールを持って走る、パスする、キックする。集団で押し込みトライする姿は、ヨーロッパでは集団芸術と呼ばれています。ディフェンスはアタックに対して頭から突き刺し、その姿は必ず心を打つものがあります。そういうラグビーの攻防を楽しんでほしいので、ルールはレフェリーに任せて、気軽に見てほしいのです」
オールドファンでもにわかファンでも関係なく、ビールを飲みながら世界最高峰の攻防を楽しめばいいのだ。